サンデー卒業!

 藤浪よ巨人を倒せ!

 阪神藤浪晋太郎投手(19)が29日、初めて巨人戦に先発することになった。開幕からの日曜日先発を外れ、今日30日は秋山が先発。藤浪は7月3日、甲子園での巨人戦第2戦に回ることが濃厚となった。ナイターデビューともなる大一番。ここ4試合勝ち星のない怪物右腕が心機一転、伝統の一戦で王者に挑む。

 甲子園のスタンドがざわめいた。広島戦。8回表の広島攻撃が終わった後だ。翌日の予告先発が発表された。「阪神の先発は…秋山」-。

 今日30日の日曜日は、ドラフト1位藤浪が前田健と投げ合うはずだった。ここ4戦勝ち星がない右腕にとっても、大阪桐蔭時代から負け知らずの甲子園登板は待ち遠しかったはず。ところが、予想を覆す場内コールは秋山の名前。これこそが、打倒巨人に燃える和田阪神の秘策だった。

 「ちょっとリズムを変えるというかね。他の投手との兼ね合いもある」

 中西投手コーチが、サンデー藤浪を白紙とするローテーション再編を語った。広島戦での登板がないとなれば、藤浪は次カードの巨人戦?

 「そこはないです…。へへっ…そこしかないわな。4つやられているし、そこで勝てれば、弾みにもなるし。後半戦へ向けて、藤浪の投球内容を把握するという意味もあるし。やられたとしてもデメリットは少ない。メリットはある」

 中西コーチは冗談めかしながらも、藤浪の巨人戦投入を認めた。当初、7月2日からの3連戦は能見、榎田、スタンリッジの先発を組み立てていた。榎田が27日の2軍戦で左肘違和感によって緊急降板。3日の第2戦が空席になった。代役に秋山が有力視されていたが、首脳陣はあえて、5月26日の日本ハム戦から勝ち星のない怪物新人を選んだ。

 甲子園のブルペンで投球練習を行った藤浪は、プロ最短の4回5失点KOとなった前回の反省と修正ポイントをこう語った。

 「多少の力みですね。チームも連敗していましたし、自分も勝っていなかったので思い切っていけなかった部分もある。その日の状態とかもありますが、制球を意識しています」

 予告先発の発表前で、日曜日登板を前提とした冷静な話しぶりだ。だが次戦は初ナイターで初の巨人戦が濃厚となった。伝統の一戦、そのデビュー戦で勝利するようなことがあれば、本人にもチームにもメリットは計り知れない。後半戦まで白熱しそうな首位攻防戦で、藤浪が切り札となれるか。3日甲子園が大注目だ。【鈴木忠平】<藤浪と巨人>

 ◆教科書

 大阪桐蔭2年秋には巨人杉内の握りをマネながらチェンジアップを習得。ドラフト後も「カーブなら(広島)前田投手や(巨人)内海投手を研究して投げられるように」。

 ◆敵は敵

 父晋さんが好きだった影響で、幼い頃は巨人ファン。ドラフト前の12年9月30日は「12球団どこでも、クジを引いて下さったところで」。

 ◆Gキラーへ意欲

 背番号が巨人戦に強かった小林繁と同じ「19」に決定。「そういう何かの縁がある。そう言っていただけるような活躍ができるように」。

 ◆無関心

 沖縄・宜野座キャンプで巨人スコアラーがブルペン視察。「見てどうこう言われるレベルの球ではないので」。

 ◆秘球

 キャンプでキレのあるカットボールを披露。巨人阿部の名前に「そういうバッターの方に対して決め球として使えるレベルのボールにしたい」。