ソフトバンクが昨年引退した球団OBの城島健司氏(37)の入閣調査を今季中に行うことが21日、分かった。現在は野球界と関係を持たないフリーの立場ながら、日本を代表する捕手としての経験値や明晰(めいせき)な頭脳、リーダー性に注目。正式にヒアリングを申し入れ、監督やコーチとして将来的に迎え入れる可能性を探っていく。

 ソフトバンクが未来の監督候補たる人物と接触を始める。ずばり城島氏だ。球団首脳がその展望を明かした。「引退されてからいろいろ忙しくされたと思う。球団OBですし、近く、ご本人の考えをお聞きしたいと考えている」。交渉ではなく、あくまで面会の場を持ちたい意向。球団のファーストアクションが持つ意味は小さくない。

 城島氏はFAでソフトバンクから大リーグ・マリナーズへ移籍。阪神で日本球界に復帰した。他球団ということもあり、表立ってパイプをつなぐことはなかったが、引退から半年以上が過ぎ、古巣球団として意思確認する機会を求める運びになった。

 ダイエーで日本一に貢献し、アテネ五輪やWBCなどでも活躍した日本を代表する名捕手の1人。データを把握し、相手の裏を読む“脳力”、心理戦にも揺るがない精神力を兼ね備え、打撃技術も秀でた。リーダーシップもある。18年間の現役生活で培った引き出しの数々は、指導者となっても生かされるはずだ。

 ただし、昨年の引退会見で城島氏は将来像について「何も考えてないです。(コーチも)4、5年は考えていないです」と球界と距離を置くスタンスを表明した。また「第2の人生は漁師になる」と“公言”してきたように、現在は、福岡の地元テレビ番組などで趣味である釣りの腕を発揮している。すぐさま球界復帰へ傾くことはなさそうだが、球団は今回の面会をきっかけに、大切な人材とパイプをつないでおく。

 現任の秋山監督は5年目で、来年が3年契約の最終年となる。王監督からバトンを引き継ぎ、リーグ優勝2回、日本一1回と結果を残している。「王→秋山」への政権交代を機に、球団では、王会長を筆頭に「監督は球団OBから」という方針を確認済み。城島氏だけでなく、昨季引退した小久保裕紀氏(41)も将来的な監督候補の1人で、王会長は「素晴らしい指導者になれる」と話している。

 常勝軍団に向けた次世代の監督リストづくりはチーム強化と並行し、水面下で進められていく。

 ◆城島健司(じょうじま・けんじ)1976年(昭51)6月8日、長崎県生まれ。別府大付(現明豊)から94年ドラフト1位でダイエー入団。99、00、03年にリーグ優勝。05年11月にFAでマリナーズ移籍。09年オフに阪神で日本復帰。4年契約の最終年を待たずに昨季限りで引退した。03年パ・リーグMVP。ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞8度受賞。日本14年間で1323試合で打率2割9分6厘、244本塁打。メジャーでは4年間で462試合に出場。昨季までの登録サイズは182センチ、89キロ。右投げ右打ち。