<日本ハム0-2ロッテ>◇9日◇札幌ドーム

 サプライズ登板で好救援も流れは変わらず…。日本ハム大谷翔平投手(19)が、プロ入り初の中継ぎマウンドに上がった。先発ケッペルの後を受け、6回から2番手で登板。2イニングを1安打3三振1四球の無失点で切り抜けた。しかし、打線は散発3安打に終わり、今季11度目の零封負け。首位楽天とのゲームは今季最大14まで開いた。

 「YMCAダンス」が登場曲だった。2点を追う6回、マウンドには大谷が上がった。プロ入り7度目の登板は、初めてのリリーフ。栗山監督が“演出”したサプライズに、スタンドは沸いた。「0で抑えればチャンスはあるかなと思いました。抑えて、いい流れを持ってこられればと思った」。劣勢をはね返し、攻撃の起点となるべく、長い腕をしならせた。

 先頭の今江には152キロ直球を中前に運ばれたが、走者を置いてからも球速を上げ、ブラゼルはこの日最速の155キロで左邪飛。30球中23球がストレートと速球を主体に攻めた。「ストレートもよかったし、チェンジアップでカウントを取れたのもよかった。力を入れなくても、いいボールがいった」。2回を投げて1安打無失点。逆転劇にはつながらず「ポンポンと3人ずつで終われればよかった」と悔いたが、今後の登板に光を見いだしていた。

 当初は今日10日ロッテ戦(札幌ドーム)に先発する予定だった。だが蓄積された疲労や、投球フォームが安定しないこともあり、回避することが決まっていた。調整法を再考する中で生まれたのが、中継ぎ起用のプランだった。栗山監督は「ローテを守って投げてもらうためのステップを踏んでいく」。先発は回避したが、ブルペンでの投球練習よりは、実戦で登板することのメリットが大きいと判断。右肩手術から復帰したばかりで、完投が難しいケッペルが登板するこの日に、狙いを定めていた。

 状況によっては、もう1度中継ぎで登板する可能性もあるが、目指すのは連戦が続く20日以降の先発ローテ入り。大谷は「中継ぎの大変さも分かったので、先発したときには長いイニングをいけるようにしたいです」。二刀流ルーキーが、またひとつ貴重な経験を積んだ。【本間翼】