<ヤクルト8-10中日>◇27日◇神宮

 ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が、1試合2本塁打で50号に到達した。

 バレンティンは、なぜこんなに打てるのか。伊勢ヒッティングコーディネーターは、構えの「足幅」に進化を見る。打撃における重要点について「(ミート)ポイントは足幅で決まる」と指摘。「去年は左足を上げると前(投手寄り)に飛び出していたが今年はそうならなくて幅が同じ。だからどんな球でもポイントが一緒になる」と説明した。

 追い込まれるとすり足にする工夫も施し始めたことで、変化球で崩されても芯でとらえる確率が増えた。「55号はいくやろ。10試合ぐらい残して超えるんちゃう。ローズのテクニックと、カブレラのパワーをミックスした感じ。ローズの比じゃないな。すごい」と、近鉄時代に指導した記録保持者より上と断言した。

 技術とパワーに、今季は「頭脳」も加わっている。本塁打量産の理由を、池山打撃コーチは「配球を読む力」と言った。バレンティンは英語で書かれた相手投手の資料に目を通してから打席に入り、そこで再確認する。それ以外にもスマートフォンで自分の打席の動画を再生し、自分のスイングだけでなく、ストライクゾーンや相手捕手の配球の傾向も研究している。

 だからこそ、池山コーチは「勝負してくれれば55号はいくんじゃない。敬遠されるかどうかが問題」と断言した。33試合で、あと5本。日本記録達成への最大の敵は敬遠と言えそうだ。【ヤクルト担当・浜本卓也】