<巨人3-2阪神>◇29日◇東京ドーム
決死のプレーも勝利に届かないなんて悲しすぎる。阪神マット・マートン外野手(31)が初回、1死一、二塁の守備で、左翼フェンス直撃かと思われた打球を好捕。そのままフェンスに激突する気迫プレーをみせた。バットでは13号ソロも放った。ただ、4回に痛恨の走塁ミス。9回の守備でもクローズアップされる結果に。巨人に悪夢3連敗を喫した1日は、打っても、守っても、走っても、マーが主役だった。
東京ドームを盛り上げたマートン劇場。始まりは大喝采を浴びた。初回1死一、二塁。4番村田のライナー性の飛球が左翼頭上を襲う。フェンス直撃は確実の当たり。先制点献上かと思われた瞬間、抜群のタイミングでジャンピングキャッチに成功。顔面からフェンスに衝突しても、決してボールを離さなかった。
「フェンスのことは考えずに、ボールを捕ることだけを考えたよ」
熱気むんむんのプレーは宿敵の動揺を誘った。一塁走者阿部は二塁を回った直後、慌てて一塁へ帰塁。その際、二塁ベースを踏み忘れており、珍しい併殺が完成して3アウト。首位攻防3連戦に2連敗していたチームに向け、ネバーギブアップを体現した。
ただ、ここからは山あり谷ありの道のり。1点リードした直後の4回1死一、二塁、二塁走者としてミスを犯した。今成の右前への飛球にスタートを切る。三塁コーチャー吉竹作戦・守備走塁コーチから、ぎりぎりのタイミングで制止を伝えられたが、急ブレーキに失敗。そのままスピードを緩め、本塁の大きく手前でタッチアウトとなった。
「自分はホームにかえるつもりだった。急に止まれなくて、ああいう形になってしまった」
ならば、失敗を取り返すしかない。1点リードの6回2死、沢村の初球、外角137キロスライダーを右中間席へたたき込んだ。2戦連発となる13号ソロ。このまま文句なしのハッピーエンドを迎えたかったが…。
1点リードの9回裏無死一、三塁。6番坂本の大飛球が左翼フェンス付近、ポール際に上がった。落下地点はわずかにファウルゾーン。犠飛には十分な飛距離で、捕れば確実に同点とされる。一方でフェアかファウルかのライン付近でもあった。難しい選択。マートンはキャッチを選んだ。
「走って捕りに行っていたから、フェアかファウルか難しい判断だった。ファウルかなと思ったけど、確証を持てなかったんだ」
絶対に落とせない試合。マウンドにはエース能見。ベンチから「ファウルゾーンへの飛球は捕るな」と指示が出ていたが、ぎりぎりの状況でハイリスクを避ける形となった。試合は延長戦突入からサヨナラ負け。守って打って沸かせ続けた主役だが、笑顔で幕を引けなかった。【佐井陽介】



