<ヤクルト1-2DeNA>◇1日◇神宮

 スクイズが決まった瞬間、DeNA中畑清監督(59)は両拳を握り締め、「ヨッシャー!」と絶叫した。1-1の9回1死満塁。初球で仕留めた鶴岡を大喜びで迎え入れた。3本塁打と集中打で7点差をひっくり返した前夜とは一転、小技で接戦をものにした。「全く違う緊張感の野球ができた。しびれたね。みんなが1点の重さを分かってくれた、いい試合が出来たと思う」とたたえた。

 バレンティンにファイティングポーズをとり続けたことが、勝利につながった。1回1死一、三塁では先発小林寛が全7球中6球で内角直球勝負。先制犠飛を許したものの、攻めの姿勢を貫いた。先頭の6回には3番手藤江が、2ボール2ストライクから内角139キロ直球で見逃し三振。友利投手コーチが「振ったら必ず本塁打じゃない。割り切らないと。今日は投げた全員が大したもの」と評したとおり、3戦目にして初めて無安打に封じた。

 1戦目に52号を浴びたが、本塁打はこの1本だけ。中畑監督は今カードを通して「全部勝負」と言い続けた。計6四球と投げきれない投手陣に歯がゆさも感じた。それでも逃げなかった姿が打線の粘りを呼び込み「気持ちが1つにつながったことを実感できた」と評した。

 最後は勝つことに徹した。同点の8回2死。1発だけは避けなければならない場面。外角一辺倒で敬遠気味に歩かせた。大ブーイングを浴びたが、「あそこはしょうがない。あのブーイングは私が甘んじて受けます」。9回表が終了した時点で残った野手は西森のみ。総力戦の末に2カード連続の連勝で、4年ぶりの50勝に到達。「この1週間で全てが決まる」とまで言った6連戦を、4勝2敗で乗り切った。【佐竹実】