また1人、虎の名プレーヤーが去る。阪神の桧山進次郎外野手(44)が今季限りで引退することが6日、分かった。近日中に会見を開く。20代で4番打者を務め、安定した守備とともに活躍。近年は「代打の神様」として数々の記録を打ち立ててきた。プロ生活22年目。まだまだ勝負強さは魅力的だが、後進に道を譲ることを決意した。

 神様がバットを置く。複数の球団関係者によれば、桧山は既に現役を退く覚悟を決めたようだ。東洋大からプロ入りして22年目。いまだに勝負どころでの切り札として投入される大事な戦力だが、芽が出てくる後輩のためにも道を譲る決断をした。近日中にも会見する段取りで進んでいる。

 91年のドラフト4位で阪神入り後、タテジマ一筋で過ごしてきた。01年には選手会長に就任するなど人望が厚い。今でも試合後は最後まで残って素振りや筋力トレーニングなどを行う。プレーだけではなく、グラウンド外でも好影響を及ぼす貴重な人材だった。

 桧山は昨年も「候補」として名前が挙がったが、金本や城島が先に引退。猛虎魂を注入する大ベテランとして、現役を続行した。年俸200万円減の3800万円でサインした今季は、開幕から出遅れたものの徐々に勝負強さを発揮。5月8日巨人戦(東京ドーム)で決勝打をたたき出すなど、代打通算150安打、同100打点を次々とマークした。

 常勝軍団形成へ、球団は若手への切り替えを進めている。外野は福留が加入し、捕手登録の今成がレギュラーとして奮闘。大和や俊介も力をつけている。球団は8月27日に東京都内で編成会議を開き、南球団社長や高野球団本部長、中村GMらで方針を確認した。

 関係者によれば、桧山は「1年でも長く続けたい」と意欲を見せていたが、同時に「他球団でボロボロになるまでやる気はない」と話していると言う。引退後は評論家としてバックネット裏から野球を勉強する予定。将来はもちろん、阪神の監督候補に挙がってくることになる。

 ◆桧山進次郎(ひやま・しんじろう)1969年(昭44)7月1日、京都府生まれ。平安-東洋大。91年ドラフト4位で阪神入り。95年から外野のレギュラーに定着。97年開幕戦など球団73代目4番として301試合に先発。96年から2年連続シーズン全試合に出場。01年は28試合連続安打、03年7月2日中日戦(甲子園)ではサイクル安打を達成した。97、02、03年の球宴に出場。06年から主に代打の切り札として活躍。推定年俸3800万円。177センチ、78キロ。右投げ左打ち。