注目対決でも、記録阻止より白星を優先だ。広島前田健太投手(25)は「個人戦」回避をぶちまけた。中5日で今日10日ヤクルト戦(神宮)に先発する。相手には、現在53本塁打で、シーズン最多本塁打の新記録に挑んでいるバレンティンがいる。エースも今季1本“貢献”。ただ、抑えるために躍起になっているかと言えば、そうではない。

 「4番だし、いいところで回ってくる。試合の流れで打たせていけない場面では、抑えないといけない」

 神宮サブグラウンドで最終調整した右腕は、冷静に話した。警戒すべき打者であることに変わりはない。だが、バレンティンの記録については無関心。むしろ、配球の布石を打つために1発を浴びたとしても、仕方ないという考えだ。実際、今季対戦5打数で打たれたのは1発。苦手意識はない。自身は6連勝中で、しかも8月以降はわずか1失点。これも、勝敗には影響ないソロ本塁打だった。「今はいい状態をキープできている」と、勝負どころで抑え込む手応えはある。

 一方で、山内投手コーチは「状況次第では、走者なしでも勝負しないかも」と話し、場合によっては勝負を避けることすら辞さない構えだ。大ブーイングを浴びようとも、仮に大記録を達成されようとも、祝賀ムードの中で、白星だけは持って帰る。すべてはCS進出のために。