<楽天7-5ソフトバンク>◇17日◇Kスタ宮城

 楽天ケーシー・マギー内野手(30)が、劇的な逆転満塁弾でチームを救った。3点を追う5回、2点差としてなお2死満塁から左中間へ26号満塁アーチ。1発で試合をひっくり返し、リーグ単独トップとなる今季32度目の逆転勝ちに貢献した。2位ロッテが負けたため、チームの優勝マジックは9。いよいよ、球団初のリーグ優勝へカウントダウンが始まった。

 マギーは両手人さし指を天に突き上げた。5回、2点差に詰め寄り、なお2死満塁。「わっしょい、わっしょい!」と大声援が響く。1ボールから、寺原の甘いスライダーをガツン。打球は左中間スタンドへ届いた。来日初の満塁弾で逆転。ベンチへ帰り、大きく口を開けた星野監督とハイタッチした。「監督を男にしたいのは、みんなが思っている」。優勝マジックを9とし、カウントダウンの始まりを告げた。

 借りを返した。1回、1死満塁から、空振り三振で先制機を逸した。5回も同じ満塁だった。「2度も失敗はできない。やり返そう」。心に決めて打席に入った。星野監督からも「あいつはどっかで、取り返してくれるやつだから」と信頼され、これ以上ない結果で期待に応えてみせた。

 助っ人と監督。2人の絆は日々の積み重ねから生まれている。試合前練習では、監督の前を通ると「ヘイ、ケーシー」とあいさつされる。元気か、ちゃんと寝ているかなど、気遣ってくれる。しかも、英語でだ。片言の英会話。それもうれしい。「監督としてだけでなく、1人の人間として愛している。監督の下で野球がやれて、誇りと名誉を持っています」。心の底から思っている。

 9月、あるニュースが耳に入った。「三木谷オーナーが星野監督に続投要請」。シーズン中のため、監督の返答はもちろんまだだ。マギーは不安になった。「ボス、どこに行くんだ。来年もボスと同じところでやりたい」と直訴した。そんなマギーの心意気に星野監督も「あいつ~。通訳から聞いたんだろうな」と目を細め、うれしそうだった。

 球団初のリーグ優勝に大きく近づいた。監督を男にしたいと宣言したマギーは「でも、そんなこと言ったら監督から『まだまだだ』って言われて怒られて、たたかれるよ」とユーモアを込めて笑った。頂点は見えてきている。「9という数字を0にできるようにしたい」と、頼もしく言った。【斎藤庸裕】

 ▼楽天マギーが来日初の満塁本塁打。マギーは今季の満塁チャンスで、この試合の初回まで11打数0安打。満塁での初安打が逆転の場面で飛び出した。楽天の逆転勝ちは今季32度目で、ソフトバンクの31度を上回るリーグ最多。これで優勝マジックを9とし、現日程の最短優勝決定日は24日。