プロ野球の加藤良三コミッショナー(72)が19日、東京都内のホテルで行われたオーナー会議で、統一球問題の責任を取って今季のレギュラーシーズン終了後に辞任する意向を表明した。

 オーナー会議の宮内義彦議長(78=オリックスオーナー)が、次期コミッショナーの「招聘(しょうへい)役」を務めることになった。12球団の意見をまとめる役割をこなしている議長として「リーダーシップをとるということではなく、リエゾン(連絡)役としての機能を果たしたい」と語った。

 これまでのコミッショナー選任方法は、プロセスが不透明だった。約2時間半のオーナー会議では、12球団の意見を宮内議長に集約、それを精査した上で一本化するという流れが決まった。会見に臨んだ同議長は後任について「非常に難しい。相手のあることで、早くに外部にもれると失礼にあたる」とした上で「ひそかに何人かの名前が出てくるのかもしれない」と話した。

 「オーナー会議では(候補者の)名前は出ていない。各球団で意中の人をもっているのかどうかもわからない。ただ、12球団でこの人というのをピックアップしてお互い検討しようということ。そこから絞り込む作業をしたい」と説明した。10月2日に臨時オーナー会議を開く方向で調整している。

 また、次期コミッショナーを要請するにあたって、兼職の是非や処遇などについても論議された。宮内議長は「常勤か非常勤かの二者択一については、より多くコミッショナーとして務めていただく」と専任を理想としながら「必要とあれば常務理事も一緒にということもある」とアシスト役をつけることも可能とした。報酬などの処遇面も「これまで一緒と考えず柔軟性をもたせることも必要」と合意内容を明らかにした。今後は12球団の意向をとりまとめた上で、宮内議長が交渉にあたる。

 ◆これまでのコミッショナー選任方法

 球界にはコミッショナーを選定するのはセの役割、といった伝統球団が育んできた「暗黙のルール」があった。昨年7月12日、加藤コミッショナーの再任が決まったオーナー会議では、2球団が「コミッショナーの役割の明確化と選任手続きを透明化する議論を今後本格化させること」を条件としたため議論は白熱。話し合いはオーナー会議では異例とも言える3時間半にも及んだ。当時、オリックスの宮内オーナーは「どういう人を選ぶのか明文化されていなかったので選任方法も決めようと話した」と説明した。