<DeNA3-7阪神>◇3日◇横浜
情けを捨て、石橋をたたいた。8度目先発の秋山が5回にブランコに2ランを浴びるとスパッと代えた。今季初勝利まであと2アウトの時点で降板。このところイニングをまたいでの失敗が目立っていた継投策は、筒井、久保、加藤、安藤と細かくつないでストッパー福原にアンカーを託した。1勝の重みが違うクライマックスシリーズに、虎投ブルペンも再出発した。
1点を必死に守る野球は、CSのシミュレーションそのものだった。先発秋山が今季初勝利をかけた5回のマウンド。1死後、ブランコに2ランを浴び、2点差に迫られると、和田豊監督(51)は迷わず動く。秋山交代。非情采配は勝利への執念そのものだ。バトンを託された筒井はひたすら左腕を振るう。金城には微妙な緩急で揺さぶり、チェンジアップで三ゴロ。代打赤堀には直球勝負で空を切らせ、後続を断った。
鉄壁の継投で、勝負の主導権を手放さなかった。中西投手コーチは「秋山は自分のバントミスのあと2回得点された。尾を引いて切り替えていけない。あの回もそういう予兆があったから。加藤は早い回に出せないから筒井がああいうタイミングでいった。CSも、ああいうのはある」と話した。リードは2点。CSでも十分にありえる展開で、筒井が期待に応えた。
CSに向けた戦いは始まっている。救援陣には9月下旬から1つの指示が出ていた。「早い回から行くこともあるから」。早めに肩を作って本番に備える。筒井からバトンを受けた久保も変化球を駆使して6回を無失点。さらに勝利への流れを加速させたのは左腕の加藤だった。
7回にマウンドへ。先頭石川を直球3球で見逃し三振に片づけた。荒波も難なく追い込むと最後は直球を内角へ。まともにスイングさせず、空振り三振だ。「しびれるというか、いいところで回ってきた。(走者を)ためた展開でブランコまで回ると後々キツくなるからね」。大砲の前に走者を出さない鉄則を守り、理想の3者凡退を演じた。
左腕不足の課題も克服しつつある。夏場、勝ちパターンの左腕は加藤1人だった時期も長かった。ピンポイント起用が効果的な短期決戦では心もとない。広島にはキラ、丸、松山ら長打のある左打者もそろう。実績のある筒井が復調し、計算が立てば、継投のバリエーションはグッと増えるのだ。
中西コーチは「春先はこの形だったからな」と胸を張る。不安定だった救援陣は上昇気配。この日は5投手が無失点リレーだ。大勝負に向けて希望が芽生えた夜だった。【酒井俊作】



