中日の新監督に決まった谷繁元信捕手(42)が10日、名古屋市内で選手兼任監督の就任記者会見に臨み、所信を表明した。守備力重視の「負けない野球」を目指し、実績にとらわれない起用をすると強調。常勝軍団復活に向けて、元監督の落合博満GM(59)と連携を図って強化していく決意も示した。

 その言葉に、再建への熱い思いがほとばしった。42歳の若さで兼任。手腕を不安視する声が出てもおかしくないが、濃紺のスーツに身を包んだ谷繁監督はきっぱりと言い切った。

 「きのう(9日)WBCの監督会見で小久保が若いですけどって言いましたけど、若いからどうなのって。プロには入って25年やって2900試合出てますし、その経験っていうのは日本プロ野球の中でも上におられるのは野村さんだけ。年は関係ない」

 18歳で横浜に入団し、たたき上げで一流選手に成り上がった。5月には捕手3人目の2000安打を達成した。さらに王貞治を抜き歴代2位の通算2832試合出場(現在は2900試合)を果たした。監督としては0勝だが、積み重ねた経験は誰にも負けないプライドがある。

 これまではマスク越しに見渡していたチームをさらに俯瞰(ふかん)して見つめる。12年ぶりにBクラスに転落した今季はチーム防御率(3・81)がリーグ4位と低迷した。「捕手なので(重視するのは)やっぱり守り。自分の思うようにやりたい」と言い、「勝たないとお客さんは来てくれない。ゼロで抑えれば負けることはない。負けない野球。見に来ている3万人の人がアウトだという打球を確実にアウトにする。そういう野球がしたい」と、守備力の重視を掲げた。

 くしくも「守りの野球」は、GMに就く落合元監督が目標としたスタイルでもある。「8年間一緒にやってきてますし、僕の考え方も分かってくださっていると思う。落合さんの野球に対する考え方も多少なりともわかっているつもりです」と、連携を取りながら強化を図るつもりだ。

 もちろん、実力主義をおしすすめる。「グラウンドに出てプレーする上で年齢は関係ない。チーム内で力がある人が試合に出る」。山本昌、和田、岩瀬、荒木、井端らベテラン選手を特別扱いしない。そのスタンスは「捕手谷繁」に対しても同じだ。秋季練習は13日から。いよいよ谷繁監督の挑戦がスタートする。

 ◆主なプレーイングマネジャー

 鶴岡(山本)一人内野手(南海)は選手兼任7年間で優勝4度。29歳で監督就任した46年は打点王、MVPでチームを初優勝に導いた。中西太内野手(西鉄)は選手としては終盤の8年間で監督兼任。優勝した63年は81試合出場で11本塁打、26打点。野村克也捕手(南海)は選手兼任で1038試合に出場し、72年には打点王。リーグ優勝した73年はMVPに輝いた。最近では野村監督の教え子、古田敦也捕手(ヤクルト)が06年から2年間指揮。中日では杉浦清内野手が46年途中から代理監督兼任で、47、48年は監督兼任。47年には遊撃手でベストナインを獲得した。野口明捕手は55年に監督兼任となり同年2試合出場で引退。56年は監督専任で3位。