阪神のランディ・メッセンジャー投手(32)が16日、帰国した。今季チーム最多の12勝を挙げるなど、大車輪の活躍で支えた右腕は阪神との契約が今季限り。メジャー復帰も視野に入れていることに言及。来季の去就に注目の集まる助っ人が、母国でのプレーに思いをはせる一方で、熱い猛虎愛を説いた。

 昼下がりの静かな空港で、揺れる思いを明かした。メジャーか、阪神か。メッセンジャーの中には強い葛藤があった。

 「アメリカでどういうオファーがあるのか、どんなチャンスがあるのか見てみたい。住みやすい街なのか、どれくらいの契約なのか、そういう金額の部分も判断に影響すると思う。その上で、タイガースからのオファーがどういうものなのか。そう考えていることを理解してほしい」

 今季は大黒柱として活躍した。チームトップの12勝を挙げ、中4日での登板もあり、チーム最多の29先発(中継ぎ登板が1度)。183奪三振で初タイトルも獲得した。11年以降3年連続で2桁勝利を挙げており、もはや阪神に欠かせない存在だ。

 メッセンジャーとは今季限りで契約が切れ、球団は全力で慰留する方針だが、メジャー球団からの関心も当然高い。自身も「年齢的にもいいタイミング。ここ2年で体も強くなったし、向こうでいい契約をしてくれそうなチャンスがある」。母国でのプレーには前向きではあるが、阪神への思いも強い。

 「タイガースは本当に素晴らしいチーム。感謝しきれない部分がある。日本ではタイガース以外でやろうとは思っていない。裏切る行為はできない」

 メッセンジャーが重視するのは、複数年契約。先発での起用。そしてメジャー球団が3年10億円の条件を用意するとされる金額面だ。11月中旬までには方向性を固めたいとも考えている。「自分はチームのために十分仕事をしたと思う。それに値する契約をしてほしいというのは頭にある」と、まずは阪神側の提示を待つ姿勢だ。最後には願いを込めるかのように、「マタネ」と日本を飛び立った。【山本大地】