ソフトバンクが国内フリーエージェント(FA)権を行使する意向を表明した日本ハム鶴岡慎也捕手(32)の獲得に乗り出す方針を固めていることが1日、明らかになった。球団は水面下で調査を進めており、コミッショナー公示を待って交渉に名乗りをあげる見込みだ。阪神も獲得調査に乗り出しており、争奪戦となりそうだ。

 鶴岡は先月28日に日本ハムと交渉した席でFA行使の意向を伝え、記者会見でも表明。すでに獲得に向けて動いた阪神に続き、調査中だったソフトバンクも“参戦”の運びとなった。

 元エース・ダルビッシュ(レンジャーズ)の専属捕手を務め、日本ハムでは4度のリーグ優勝を経験。投手の良さ、持ち味を引き出すリードに定評がある。今季は規定打席に未到達ながら打率2割9分5厘。チームバッティングに徹した打撃はチーム内外で評価を得ていた。09年にはゴールデングラブ賞。昨年は吉川と最優秀バッテリー賞にも選ばれた実力派で、選手会長として人望もある。

 ソフトバンクは10年オフにFAで西武から獲得した細川が今季も主戦マスクをかぶった。強打を武器にした田上は今季限りで引退し、現時点では、細川と、FA行使の態度を保留する山崎、高谷の3人が来季構想の中心。4年目を迎える山下を“強化指定選手”として秋季キャンプで鍛えているが、これに鶴岡も加わるとなれば正捕手争いはかなり激しくなる。外部の血を入れる環境づくり。その底流には常勝チームとして競争原理を常に働かせたい思惑があるようだ。

 複数の関係者によれば獲得の方向性を確認。コミッショナーからFA宣言選手として公示され次第、交渉に名乗りを上げるとみられる。

 鶴岡はFA行使を表明した際「プロ野球選手である以上、上を目指していかないといけない。11年間やってきたことをゼロにして一からやりたいという思いがある」と語った。自分を成長させるため、新しい競争環境に挑戦する方を選ぼうとし、常勝チームを目指すソフトバンクはまさに合致するチーム。おまけに鹿児島出身。九州の枠組みも意識する球団にとっても、うってつけの人材と言える。

 鶴岡の今季年俸は7600万円(推定)。人的補償を求められるBランクとみられる。それでも2年連続V逸、5年ぶりBクラスの現実から、後藤新社長が今オフの積極補強を予告したばかり。球団が正式に表明すれば、4年連続のFA補強に参戦となる。

 ◆鶴岡慎也(つるおか・しんや)1981年(昭56)4月11日、鹿児島県生まれ。樟南高時の2年春と3年夏に2度甲子園出場。3年夏の大会では準決勝に進出した。三菱重工横浜硬式野球クラブから02年ドラフト8巡目で日本ハムに入団。球宴出場2回(12、13年)。ベストナイン1回(12年)、ゴールデングラブ賞1回(09年)。今季推定年俸7600万円。177センチ、77キロ。右投げ右打ち。