中日が巨人からFA宣言した小笠原道大内野手(40)の獲得調査を行うことが14日、分かった。通算2080安打の実績や貪欲な練習スタイルに着目。西武からFAの片岡治大内野手(30)、ソフトバンクからFAの山崎勝己捕手(31)とともに調査対象に加えた。落合博満GM(59)率いる球団は獲得を目指す選手名や交渉過程の完全非公開を明言。「落合カーテン」を引き、隠密作業でFA補強を進める。

 中日が小笠原の獲得調査に乗り出すことが判明した。公示されたFA宣言選手の中に、ガッツの名前が入った。巨人ではここ数年故障や若手の台頭で出番に恵まれなかったが、通算2080安打の打棒は魅力的だ。来季の内野は一塁ルナ、三塁森野が有力ながら2人を脅かすには十分な存在で、代打の切り札の期待も持てる。さらに、妥協なく猛練習に取り組む姿がチーム内に生む相乗効果も計算される。今日15日から解禁される交渉に向けて、綿密な調査を行い参戦準備を整えることになった。

 来季V奪回へ向け、西武からFAした片岡、ソフトバンクからFAした山崎の2人も調査を進めている。片岡はポスト・アライバで山崎はポスト谷繁。ここに小笠原を加え、力量や期待度、他球団の出方をうかがいながら、獲得の是非を判断していく。西山球団代表は「マネーゲームはしません」とし、予算を定めた上でFA市場をにらむ。

 万全を期し、FA交渉には「落合カーテン」がひかれる。獲得を目指す選手の名前や、交渉日時、過程などについて、完全非公開とする方針だ。西山代表は「ショーにするつもりはない。経過も含め一切アナウンスはしません。(獲得が)決まった時だけお伝えします」と明言した。

 日本球界ではある程度、オープンに進めるのが通例。近年の中日のFA交渉でも、獲得に成功した谷繁や和田、失敗した工藤や江藤らとの会談は全部公開してきた。今回は隠密作業にする考え。獲得を目指す選手とは落合GMや西山代表が直接会談したり、電話交渉を持つとみられるが、すべてが水面下のようだ。

 この日、午後3時の公示2時間前に帰路に就いた落合GMも慎重だった。「興味湧いてない、まだ。公示されてないんだろ?

 聞くこと自体が間違ってる。それをフライングと言うんだ。俺がこの世界に何年いると思ってるの?

 よそはあれがほしい、これがほしいと言ってるけど本当は言っちゃいけないんだ」。宣言選手は事前に判明していたが“2時間のタンパリング”にすら配慮した。小笠原に片岡、そして山崎。他球団の激しい空中&地上戦に、落合流の静かな水中戦で対抗する。