竜の総帥が仏になった。中日白井文吾オーナー(85=中日新聞社会長)が25日、名古屋市内のホテルで行われた球団納会に出席し、新体制への絶大なる信頼を口にした。8億円超のコストダウンを断行した落合博満GM(59)の仕事ぶりに「予想しとった通りうまくいっとる」とにんまり。納会ではチームへの叱咤(しった)激励が恒例だったが、最後まで穏やかな表情だった。

 12年ぶりBクラスの納会とは思えない和やかムードだった。冒頭であいさつに立った白井オーナーは、笑顔だった。厳しい言葉は封印し、さっそく来季への期待を口にした。

 「GM、監督が頭に描いていることは分かっている。この際、一気に優勝をしようと思っている。これ以上、しっかりやれというつもりはない。ムチを打つことはない」

 リーグ4位の成績を嘆くこともなければ、ドーム初の観客200万人割れを叱責(しっせき)することもなし。最後まで穏やかな表情だった。

 落合GM&谷繁兼任監督への信頼は揺るぎない。この日行われた球団役員会でも落合GMの大胆なコストカットが話題に挙がったようで「おう。その話?

 出た、出た。予想しとった通りうまくいっとるな」と大満足。12球団屈指の練習量を誇った秋季キャンプも「充実した厳しいキャンプが行われている。ドラゴンズが生まれ変わろうとしている」と評価した。

 自身が仕掛けた「超サプライズ決着」から1カ月半が経過した。苦しんだ今季の心境を「人間万事塞翁(さいおう)が馬」、「災い転じて福と成す」という故事ことわざで表現。不幸が幸せにいつ転じるかわからない。悪いことがあれば、必ずいいことがある。思い悩んだ末に人事を尽くした結果が「10月9日の大きな“模様替え”になった」と力説した。

 ホテルから寒空の下に出てきた竜の総帥は「予想以上にチームは明るいね。何となく気分も明るい」と納会の感想を口にした。大改革が成功すると確信しているようだった。【桝井聡】