ゴジラに会いに行く!

 巨人阿部慎之助捕手(34)が29日、成田発の航空機で米ニューヨークに出発した。松井秀喜氏(39)を訪ねて、チームや自身の現状を伝える。松井氏は来年2月の春季キャンプで臨時コーチを務めることが内定している。ゴジラと主将が強力タッグを組んで、日本一奪回に向けて滑り出す。

 偶然にしてはできすぎだった。阿部が乗り込む航空機はANA10便で、搭乗ゲートは55番だった。自身と松井氏の背番号。阿部は「55番だね。全日空さんが気を使ってくれたのかな」と、うれしい一致を喜んだ。

 34歳にして初めての1人旅になる。「単純に松井さんに会いに行きたいと思った。自分から会いに行くことに意味があると思った」と、松井氏が躍動した地を選んだ。訪問の申し出を快諾したゴジラが、スケジュールを空けて待ち受けてくれることになった。再会を果たした後は、ヤンキースタジアムなどを見学する予定を組んだ。「何も考えず肌で感じたい」と摩天楼を自分の肉とするつもりだ。

 質問攻めにする。「いろいろヒントを聞いてみたい。1人の人間として、いち野球人として。堅い話も軟らかい話も」と野球少年に戻る。これだけは…、の要点も考えた。

 阿部

 ワールドシリーズに勝ってMVPを取った選手。翌年のモチベーションの保ち方はどうだったのか。一家の主として、現役中に子どもが生まれたら、もっとやれていたと思うか。

 昨季は日本一を達成し、個人としても打撃タイトル2冠を獲得した。休む間もなくWBCの主将を任され、シーズンに突入した。「年明けから大忙しだった。目標がなくなった、と言えば大げさだけど、難しい面があった。モチベーションが違ったら、違った結果もあったのではないか」と打ち明けた。選手として脂が乗りきっている自分が直面した「燃え尽き症候群」という課題を、松井氏はどう乗り越えてきたのか。答えを求めに行く。

 チームの今も素直に伝える。松井氏がスムーズに臨時コーチを行えるように橋渡しをする。「自分を見つめ直すきっかけにする。家族には申し訳ないが、優勝旅行で孝行します」と阿部。立ち位置を再確認する、大切な旅になる。【為田聡史】