来季は3冠王を目指すべく、ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が、材質の異なる2種類のバットを発注していたことが29日、分かった。60本塁打のプロ野球新記録を達成した今季に使用したオールドヒッコリー社製のロックメープル材のバットに加え、ホワイトアッシュ材の同タイプをすでに注文。「道具は(コンバート挑戦する)一塁にグラブを変えるだけ」と話していたが、ひそかに準備していた。

 現状維持よりも、進化を求める証拠といえる。同社のアジア総代理店を務めるアイスポーツ社の小林充氏は「ホワイトアッシュは使い込むと飛距離は悪くなりますが、新品ならメープルよりも飛ぶ」と説明する。今季の本塁打数は狭い神宮でこそ38本だが、甲子園では1本のみ。「広い球場は嫌い」と漏らしたこともあった。「飛距離が欲しい」という場面でホワイトアッシュのバットを使い、飛距離増を目指すのが狙いにあると想像できる。来年2月の春季キャンプから併用し手に慣らしていく予定だ。

 バレンティンはこの日、故郷のオランダ領キュラソー島に向かって出国した。来季への備えを終えたこともあってか「長いシーズンだったから、ファミリーと楽しい時を過ごしたい」と、すがすがしい表情で日本を後にした。【浜本卓也】