阪神藤浪晋太郎投手(19)が、また虎の歴史を塗り替えた。3日、兵庫・西宮の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季の年俸1500万円から3倍増となる4500万円で一発サイン。プロ1年目を終えたオフの更改で、球団史上最高額での昇給。球界最速タイ、球団史上最速の3シーズン目での1億円の大台突破も視界にとらえた!(金額は推定)

 虎の新たな歴史が、またも藤浪の右腕で刻まれた。3倍増となる推定年俸4500万円。「絶対一発でサインする、とは言わないですよ」と“保留予告”していた藤浪だったが、首を横に振るはずがない。一発サイン。01年オフに赤星が4000万円で契約更改したケースを上回り、球団史上最高額で2年目を迎えることになった。

 藤浪

 成績以上の評価をしていただきました。子どもたちに夢を与えるような選手になっていってほしいと言われました。

 本人は謙遜したが、夢を与える成績だった。1年目から開幕ローテに入り、開幕3戦目でマウンドに立った。ローテを守り10勝を挙げると、ポストシーズンでもクライマックス・シリーズ初戦で先発。エース級の働きだった。スタンリッジが退団し、FAで久保が抜けた来季は今季以上の期待がかかる。

 藤浪

 若い選手が頑張ればチームにプラスアルファの力が生まれると思っているので、若い自分が頑張っていきたいですね。

 夢は膨らむ一方だ。2年目を終えた来オフの契約更改で1億円の大台を突破すれば球界最速タイ。阪神でもOBの赤星氏(野球評論家)の4シーズン目での達成を抜き、虎史上最速となる。交渉に当たった高野球団本部長は「そうなってくれたら、球団としてもありがたいこと」と期待した。

 大活躍の1年目を終え、評価されても慢心はない。「一ローテーション投手として考えるなら納得できる数字ではなかった。今年の数字は野手だったり、助けていただいた数字。来季は自分の力で勝ちましたと言えるようにしたい」とかぶとの緒を締めた。2年目のジンクスを打ち破れば、大台も現実味を帯びる。歴史を塗り替え続ける藤浪が、スターの証しに挑戦する。【池本泰尚】

 ▼阪神藤浪が3000万円アップの4500万円で更改した。高卒2年目で4000万円以上は、00年松坂(西武=7000万円)08年田中(楽天=6000万円)に次ぎ3人目。高卒2年目の昇給額3000万円は前記の松坂(5700万円増)田中(4500万円増)に次いで3位。高卒の条件を外しても、阪神2年目の昇給額では02年赤星外野手の2800万円(1200万円→4000万円)を上回る球団史上最高額となった。