「二刀流」査定で倍増した。日本ハム大谷翔平投手(19)が3日、札幌市内の球団事務所で初めての契約更改交渉に臨み、倍増となる3000万円(推定)でサインした。投打「二刀流」に挑戦したこともあり、複雑な査定に頭はこんがらがった様子。高卒2年目での3000万円は、背番号「11」の先輩・ダルビッシュと並んだ。

 “超難問”に思考回路は停止寸前だった。数字の羅列にスーパールーキーもお手上げ状態。だが、3000万円という数字だけは、はっきりと確認できた。

 大谷

 詳しすぎて分からなかった。用紙が2つあって、投手の方には自責点だとか(項目が)あって、バッターのものもあって…。どれがどのくらいだとか、説明してもらったんですが、よく分からない。

 細かいポイント制で査定される日本ハムの評価システム。さらに投打「二刀流」のため、他の選手よりも複雑ではあったが、倍増となる3000万円に「納得しました」と判を押した。

 球界史上例を見ない「二刀流」査定に球団幹部も検討を重ねた。はじき出された3000万円という金額は、単純に投手(3勝)と野手(打率2割3分8厘、3本塁打、20打点)の査定ポイントを合算したものではない。島田球団代表は「今までの(査定の)方法に当てはめてやっていますけど、考慮していることもある」と話す。その1つが「稼働率」の問題だという。

 例えば、今季の大谷は登板前後の試合で野手として出場することにストップがかかっていた。体の負担を考慮したものだが、野手だけをやっていれば、もっと出場試合数が多くなっていた可能性はある。つまり、稼働率がもっと上がっていたかもしれないということだ。「稼働率だけじゃなく、いくつかそういう部分はある。プラスもマイナスもある」(同代表)。投打両方をやっていることで生まれる、目には見えないメリット、デメリットを“調整給”のような形で配慮しているという。

 「(査定に)正解はないから」という同代表の言葉が、「二刀流」選手の評価額を決める難しさを物語っている。初めて経験する交渉の席で、19歳の青年がそんな説明を受けたのだから、困惑するのもうなずける。それでも「金額よりも、来年しっかり頑張りたいという思いが強くなりました。チームを勝たせられる選手になりたい」と、意気込みに戸惑いはない。

 来季入団2年目で倍増の3000万円になったのは、ダルビッシュや斎藤らドラフト1位の先輩と同じ。「2人のような活躍ができたかは分からないけど、来年しっかりできればいいかなと思う。まだ僕の力が足りない。もっともっと成長できればいい。オフだと思うのではなく、もう始まっていると思って頑張る」。来季活躍するための“計算”は、すでに頭の中で答えが出ている。【本間翼】

 ◆日本ハムの査定

 明確なポイントシステムによる数字と、「人の目」による評価を合計して査定される。ポイント項目は細かいプレーの1つ1つにまで多岐にわたり、投手であれば、先頭打者への結果や、アウトの内容(ボールカウントなど)などによって、同じ無失点であっても査定は変わる。また交流戦で投手が打席に入る場合、凡退することのマイナス査定はせず、犠打成功などのプラス面だけを加味する。ただし、「二刀流」の大谷だけは別。「5番投手」で出場した6月18日の広島戦も、打席では打者として査定され、凡退すればマイナスがつく。そして数字だけに頼るのではなく、査定担当者の「目」も重要なファクター。ベースカバーを怠るなど、数字に表れない緩慢プレーは、厳しく査定に反映されている。タイトルやタイトルに準ずる活躍と判断した場合は、もちろん相応の評価の対象に。ファンサービスの観点から多少は人気面も考慮されるが、割合は少ない。