日本ハム大谷翔平投手(19)が「悲劇のヒーロー」となりながら、野球人生を再出発する後輩の成功を願った。エールを送ったのは、東都リーグ2部の日大に進学が決まった花巻東・千葉翔太外野手(3年)。千葉は今夏の甲子園で4強入りに貢献も、ファウルで粘るカット打法が大会中にバントとみなされて物議を醸し注目を浴びた。ここまで発言を控えてきた大谷だが15日、秘めてきた胸の内を吐露。「あれだけしつこい野球ができる。頑張ってほしい」と飛躍を期待した。

 大騒動の矢面に立たされ傷心しても、くじけなかった千葉の門出を精いっぱいの言葉で祝った。「水沢リトル」-「水沢シニア」、そして高校と一緒にプレーした間柄。この日、2軍の千葉・鎌ケ谷で、温めてきた考えを打ち明けた。賛否両論あったカット打法には「分かりません」と私見を避けたが、独特のスイングを実践できる能力を認めていた。「あの(打撃)技術は、なかなかできるものじゃないです。守備も一番うまいと言われていましたから」。本筋からやや外れた議論に巻き込まれた後輩の選手としてのレベルの高さを、純粋にたたえた。

 身長193センチと恵まれた自身とは違い、156センチと小柄ながら、大学野球へ飛び込む挑戦の行方にも太鼓判を押した。「僕とは違う野球スタイルですけれど、こういうやり方というのを見つければできる(通用する)と思う」。高校野球ラストはカット打法をまっとうできず、号泣で最後の夏を終えた千葉への特別な思いを届けた。大谷も賛否両論ある二刀流で奮闘しながら、これからも陰から見守っていく。【高山通史】