ついに「ロッテ涌井」の誕生だ。ロッテは18日、西武からFA宣言し、交渉中だった涌井秀章投手(27)の獲得を発表した。11月19日の初交渉以降、条件面の調整などで長引いていたが、無事年内に決着。中村家国球団社長(68)はあらためて先発起用を約束した。25日に、西武時代の恩師でもある伊東勤監督(51)同席のもと、入団会見を行う。

 初交渉から29日。ロッテがようやく本丸を口説き落とした。18日、都内で涌井と入団合意に達した。同席した松本編成統括は「千葉出身ですから、地元でやれる喜びを感じてくれていたようでした。地元の皆さんにいい結果を見せたいと話していた」と契約時の様子を思い返した。

 先発投手陣の故障が相次いだ今季、涌井獲得が決まらないことには、補強完了とは言えなかった。代理人を通し、細部まで条件面を詰めるのに時間はかかったが、松本統括は「もめてはいない。本人にとって重大な決断ですから」。涌井のペースを尊重して待ち続けた。中村球団社長は、あらためて涌井が希望している「先発起用」を約束した。

 条件面や背番号は伏せられたが、2年4億4000万円プラス出来高払い、背番号は西武入団時につけた「16」に決まった。涌井は球団を通し「来年は新しい舞台で、新しい自分をファンの皆さまにお見せすることができればと思っています」とコメント。プロ入り当時に背負ったナンバーで初心に戻り、10年目の再出発に意気込んでいる。

 入団会見は25日。西武時代の恩師でもある伊東監督も同席し、真新しいユニホーム姿がお披露目される予定だ。指揮官は「また一緒に野球をやれてうれしい。優勝を狙える戦力になったと思います。来年は涌井投手を中心とした新戦力の加入で、優勝争いを勝ち抜きたい」と共闘を心待ちにしている。沢村賞投手の加入はロッテファンにとって、うれしいクリスマスプレゼントとなる。【鎌田良美】