ソフトバンク松田宣浩内野手(30)が楽天の「来年のエース」に早くも宣戦布告した。30日、故郷の滋賀・竜王町で同県出身プロ野球選手による野球教室に参加。一緒に参加した新人王の楽天則本を目の前にして「打倒楽天、打倒則本くん!」と叫び、則本から「抑えます」と応酬された。滋賀県人会の設立プランで意気投合してもグラウンドでは別。けじめをつけた。

 トラックの荷台に会議室の机といすを乗せた手作り感たっぷり、ほのぼのとした舞台で、松田と則本が火花を散らせた。野球教室のトークタイム。先にマイクを握った松田が「打倒楽天、打倒則本くん!

 日本一しかない」と言うと、則本も「松田さんをさらに抑えます」とやり返した。同郷でも互いに所属チームでは投打の軸。イベント終盤に本音がぶつかり合った。

 今季24勝の田中がメジャー挑戦を表明し、15勝の則本が来季楽天の柱になる。松田はそれを意識した。「楽天のエースとして投げてくるし、早いうちに打たないといけない」。則本はソフトバンクに2勝3敗。被打率3割9厘、防御率6・46とパ・リーグのカード別ではワースト。裏を返すとソフトバンクに分がありそうだが、実は日本一への火付け役を演じていた。

 7月5日の対戦で則本をプロ最短の1回4失点でKO。松田の中前への先制打も効いた。しかし、翌日の対戦に“中0日”で救援登板した右腕は、3回途中を無失点で7勝目。ここから日本一まで走った。則本は「スイングが速い打者が多くて苦手です。松田さんにセンターに打たれた印象だけが残っている」と言いながら、「あの2連戦がターニングポイントです。打ち込まれて逆に自分の良さを知りました」と松田の前でニコニコ顔で振り返った。

 松田は則本に12打数3安打2打点、打率2割5分だった。7歳下でも、15勝で新人王。V奪回のためには倒すべき「来年のエース」が同郷にいた。「相手は優勝チームで、こちらはチャレンジャー。何とか食らいつく気持ちでやらないと」。主軸として、選手会長としてガツンと宣戦布告をかまして、早くも心理的な駆け引きを仕掛けた。【押谷謙爾】