イチ流選曲でエースを狙え!

 阪神のドラフト1位岩貞祐太投手(22=横浜商大)が登板時のテーマ曲として歌手石川さゆりの「天城越え」を検討していることが6日、分かった。同曲は米大リーグのヤンキース・イチロー外野手(40)がマリナーズ時代の08年に使用。熊本が生んだスターの名曲だけに、熊本出身の岩貞にピッタリだ。

 ♪あ~まぎ~ご~え~。誰もが思い浮かぶあのメロディー。なんと岩貞が「天城越え」を登場曲に選ぶ可能性が浮上した。

 甲子園のマウンドと、石川さゆりの名曲。一見、何のつながりもないように思えるが、イチローがマリナーズ時代の08年に同曲を、シアトルで打席に立つ際に使用した経緯を知ったことで、岩貞がテーマ曲の選曲リストに加えたという。

 石川のコンサートで、抜群の歌唱力に心を打たれたイチローは「天城越え」をテーマ曲に採用。そこにはイチローの数々の「記録超え」への思いが込められ、08年に8年連続200安打を達成。22歳の岩貞には普段なじみのない演歌だが、そんな背景にひきつけられたようだ。

 石川さゆりは熊本県飽託郡飽田町(現熊本市)出身。同じく熊本市出身の岩貞にとって、郷土が生んだ大スターだ。岩貞は4日に熊本で自身の激励会に出席した。「プロでの生活はいいことばかりじゃない。そんなときに、ここ(熊本)の人を思い出して起爆剤になれば」と話すなど故郷への思い入れは強い。登板前の「天城越え」は、熊本を思い返すきっかけになるに違いない。

 大学では登板前「ほとんどの曲が好き」と話す、同い年の歌手平井大(22)の曲を聴きマウンドに向かった。高校時代は年末年始の5日間しか休みのない野球漬けの日々。その中で部員とのカラオケが息抜きの手段だった。十八番は、チェッカーズの「ギザギザハートの子守歌」。岩貞にとって野球と音楽は切り離せない関係とも言える。

 故郷を思い出し、イチ流への階段を駆けあがる-。岩貞にぴったりの曲が「天城越え」だ。【松本航】