中日浅尾拓也投手(29)が9日、14年シーズンの背水覚悟を明かした。山内、岩田、武藤と5日間行った鹿児島市内での合同自主トレを打ち上げ。右肩の故障などで2年連続不完全燃焼に終わったセットアッパーは、進退に直結する悲壮な思いを激白した。鹿児島では雄大な桜島をバックに連日8時間に及ぶ「暴走トレ」を敢行。3人の後輩たちが悲鳴を上げる荒行で、本気度と好調な仕上がりを示した。

 雄大な桜島をバックに腹は固まったのか。浅尾が14年シーズンに進退をかける覚悟を明かした。「やらないといけない年です。やらないと、いい場所で投げさせてもらえない。危機感を持ってやっています。背水です」。5日間の鹿児島自主トレを打ち上げたこの日、悲壮な決意を告白した。

 ここ2年は右肩の故障に泣いた。3年連続結果が出なければ、かつてのMVP右腕も弱肉強食の波にさらされる。プロ8年目で初めて味わう試練。だが浅尾は前だけを向いて逆境を打開しようとしていた。

 「開幕から1年間1軍にいたい。そうすればおのずと(数字は)ついてくる」。3年ぶりのフル1軍へ、貪欲に自身を変えている。今オフは山本昌&岩瀬の名球会コンビが通う鳥取自主トレに初参加。長寿への秘策とも言える故障しないフォームを習得中だ。さらに例年名古屋で行う自主トレを、コーチ陣の進言もあって温暖な鹿児島に変更。練習も超ハードに激変させた。

 山内は「浅尾さんのメニューがキツイ。もう足がパンパン。『浅尾さん暴走』と書いておいて下さい」と苦笑いで明かした。今年30歳になる参加最年長の浅尾が、同じく奮起が期待される山内、岩田、武藤のことも考えた地獄メニューを準備。球場への自転車通勤をはじめ、桜島を横に見ながら走る長中短距離走やノック、ウエート、プールなど連日、日没までの8時間練習を敢行した。

 「文句も言われながら、必要以上に動けたと思います」。近日中に飛ぶグアム自主トレへの下準備は、十分すぎるほど整った。そして黙々と煙を上げる活火山を見ながら言った。「鹿児島は初めてでした。桜島、すごくきれいですね」。桜島のマグマのごとく熱い闘志は、背水のピンチでスパークさせる。【松井清員】