伸び~る右腕にレギュラー奪取を確信した。巨人井端弘和内野手(38)が10日、中日から移籍後、初めてジャイアンツ球場を訪れて自主トレを公開。昨年10月に右足関節の骨棘(こっきょく)除去手術と、右肘関節の形成術を受けていたが、順調な回復を示した。

 心地いい違和感だった。「腕が長くなった感じがする」。もちろんリーチは変わらない。だが約30メートルのキャッチボールで右肘を伸ばし切って投げられた。「ビックリした。ストレスがない。ここ数年は1回休むと、これぐらい投げられるまでに2カ月かかったから」。12月に送球練習を再開後、わずか1カ月で好状態まで仕上げた。

 体は若返り、心は初々しかった。初めて訪れる施設。車で迷いに迷った。近くまで来たのに入り口が見つからない。「道が分からず(隣接の)よみうりランドに行っちゃいました」。結局、到着が遅れ、練習開始を30分ずらした。グラウンドに下りると、スタッフ、関係者に次々とあいさつ。「あいさつしすぎて、誰1人覚えていない」とバツが悪そうに言った。シューズはチームカラーのオレンジ。「絶対に突っ込まれると思った。でも去年の8月から履いている。変えられないから」。中日一筋のベテランはちょっとした変化を楽しんでいた。

 1週間後には打撃練習も開始する。再生された肉体の効果が楽しみで仕方がない。「開幕から(先発で)出られると思っていない。今季が終わってみてレギュラーになれればいい。どこかのタイミングで虎視眈々(たんたん)と狙う」。昨年のWBCのように後方待機から一気にレギュラーを奪う。【広重竜太郎】