18歳の最年少虎が、衝撃デビューした。発熱で出遅れていた阪神ドラフト2位横田慎太郎外野手(鹿児島実)が9日、初の屋外打撃で柵越えを連発した。マシンで3発、打撃投手から4発の計7発はこの日のメンバーで最多。安芸市営球場のバックスクリーンにぶち当てる豪快弾で締め、掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(DC=58)も飛距離に注目した。

 バコーン!

 中堅にそびえるスコアボード、7番打者の「7」の数字に横田の打球がぶち当たった。安芸球場をざわつかせる推定130メートル弾で、プロ初のフリー打撃を締めた。

 「初めての合流で初めてプロの球を打つということで不安しかなかったです」

 ドキドキしながら本隊に合流した。キャンプインの1日に発熱。これまで別メニューに取り組んでいた。打席に入ったら不安も見せず、堂々とバットを構えた。高々と上がった打球がグングンと伸びていく。バックスクリーンに2発、右中間に2発、右翼ネットは3度揺らした。オーバーしなくてもフェンス直撃や外野の最深部に次々と球が飛ぶ。高卒ルーキーが驚がくの力を発揮した。

 タテジマのバックスクリーン弾…。伝説に名を残す掛布DCも、若き大砲を評価した。「あれだけ飛ばす力があるというのは彼の魅力。ドラフト2位で入団したのだから。期待通りのパワーを出してくれた」。沖縄・宜野座から視察に訪れた黒田ヘッドコーチも打撃ケージの後ろで目を見開いていた。

 ストレートマシンも苦にならなかった。実は鹿児島実にはカーブマシンしかなかった。「キャンプでマシンが打てないとアピールにもならない」。1月の新人合同自主トレは、打撃マシンの真っ直ぐに慣れることから始めた。空き時間を見つけてはマシンの電源を入れた。「高校時代より振る量は断然違う」と約1カ月間の集中特訓で成果が出た。寮で1人の振り込み…。掛布DCの若き日を連想させる。

 プロの壁も感じた。シート打撃では4打席で無安打。初めてプロの投手と対戦し、速さや変化球に対応できなかった。「実戦の球をああいう風に打たないといけない」。フリー打撃の特大弾だけで満足しないところも、規格外の18歳だ。【宮崎えり子】

 ◆横田慎太郎(よこた・しんたろう)1995年(平7)6月9日、東京生まれ。3歳で鹿児島・日置市へ転居。鹿児島実では1年秋から4番一塁で高校通算29本塁打。3年春からは投手も兼任した。プロ入り後は新人合同自主トレの3キロ走でトップを快走。父真之さんはロッテ外野手として新人の85年から2年連続打率3割を記録した。186センチ、85キロ。左投げ左打ち。背番号24。