開幕シリーズに「レジェンド」が来る。日本ハムの開幕2戦目となる29日のオリックス戦(札幌ドーム)で、ソチ五輪スキージャンプのメダリスト、葛西紀明(41=土屋ホーム)が始球式を行うことが2月28日、分かった。五輪後ひっぱりだこの葛西だが、日本ハムでは、個人ラージヒルで銀メダルを獲得した当日、いの一番でオファーを出し、他球団に先んじて実現することになった。

 五輪の感動が札幌ドームでよみがえり、選手たちはV奪回へ向けて勇気と力をもらう。日本ハムの開幕2戦目となる28日のオリックス戦に、一躍時の人となった「レジェンド」葛西が来場し、始球式を行う。選手だけではなく、寝不足になりながら応援したファンにとっても、楽しみなイベントになりそうだ。

 世界から「レジェンド(伝説)」と称される北海道出身ジャンパーの「登板」を、日本ハムも追い風にする。41歳で個人ラージヒルと団体で2つのメダルを獲得した葛西に、球団関係者は「不屈の闘志は見習うべきものがあります」と、昨季最下位からの巻き返しを期すチームにとっても刺激になると踏んでいる。個人銀メダルを獲得した日本時間2月16日には、開幕シリーズへの招聘(しょうへい)に動き、前代未聞の“即日オファー”をした。

 同じ北海道を拠点としており、栗山監督、稲葉らは葛西と親交がある。栗山監督は五輪前、スキージャンプ高梨沙羅、女子アイスホッケー「スマイルジャパン」らを激励した。最後に訪れたのが、葛西のもとだった。「技術や体力のベースがしっかりしている。それをファイターズもちゃんとやってくださいと教わった」と感銘を受けた。同い年の稲葉は、プライベートでも以前から交流があり、非公式ながら始球式依頼の「直メール」を行っていた。

 全国が感動した、日本人最年長メダル獲得からわずか1カ月。球団関係者は「どういう形でできるのかは、検討中です」と、単なる始球式では終わらせず、冬季五輪にちなんだ趣向を凝らした演出となりそうだ。

 前日28日の開幕戦には、06年にチームを44年ぶりの日本一に導いた元監督のヒルマン氏(ヤンキース育成担当特別補佐)もセレモニーに駆けつける予定。開幕3連戦は文字通り「レジェンドシリーズ」となり、V奪回を目指すチームの船出を盛り上げる。<主な冬季五輪選手の始球式>

 ◆カーリング敦賀信人(98年4月10日、東京ドーム)

 ボールを転がし、グラウンドボーイがブラシでこするカーリング式。「五輪よりも緊張しました」。

 ◆ジャンプ船木和喜(04年4月13日、札幌ドーム)

 高めへのボール球ながらダイレクト投球。「初の道民球団。僕に協力できるものなら何でも」。

 ◆カーリング小笠原(旧姓小野寺)歩(06年6月8日、札幌ドーム)

 山なりのワンバウンド投球に「球技は全くダメ」。

 ◆距離夏見円&石田正子(06年7月1日、札幌ドーム)

 バッテリーを組み「心臓が鍛えられました」(投手役の夏見)。

 ◆カーリング本橋麻里(10年5月2日、札幌ドーム)

 空振りを奪い「ストライクで良かった」。

 ◆ジャンプ岡部孝信(10年6月13日、札幌ドーム)

 「おやじシリーズ」に当時39歳で抜てき。ストライク投球を披露し「(ジャンプでも)おやじの星になれるように頑張ります」。

 ◆スピードスケート長島圭一郎(10年8月1日、帯広の森)

 真ん中高めの剛球。「本当は150キロを出してプロ野球選手になりたかった」。

 ◆ジャンプ伊東大貴(12年5月26日、札幌ドーム)

 ストライク投球。中学まで野球少年で「飛ぶときよりも真剣でした」。

 ◆スピードスケート高木美帆(12年8月7日、帯広の森)

 ノーバウンド投球にも「少し(コースが)外れちゃいました」。

 ◆ジャンプ高梨沙羅(13年7月7日、札幌ドーム)

 前年の旭川に続き2度目もワンバウンド投球。好きな選手はの問いに「B☆Bさんが好きです」。