<オープン戦:オリックス1-9巨人>◇8日◇京セラドーム大阪

 巨人菅野智之投手(24)が、開幕投手の座を決定的にした。オリックス戦に先発した右腕は、5回を投げ被安打2、無失点と好投。要所で力勝負を挑み、絶対に点を与えないすごみを示した。順調な調整ぶりと、有無を言わさぬ結果で周囲を納得させ、巨人では00年の上原(レッドソックス)以来となる入団2年目での大役を確実にした。3月28日の開幕戦は、東京ドームでの阪神戦。菅野で伝統の一戦を制す。

 コントロールは二の次だった。抜群の制球力を誇る菅野が、力でねじ伏せにかかった。3回無死二塁、初めての走者を得点圏に背負って、鬼に変わった。伊藤、駿太、ヘルマンを直球で押し込む。狙ったコースと逆球でも、外野まで運ばせなかった。ピンチを上から押さえ付け、切り抜け、チームへの勢いに変えた。ただ抑えただけでは満足できない。「三振を取りたい場面でしっかり取れるように」と雄々しかった。

 内海と一騎打ちだった開幕投手の座を確実とした。テーマとして取り組んできた直球の最速は148キロ。過去の登板で意識的に絞ってきた球種も、フルオープンで解禁した。無四球の被安打2。5回のうち4回を打者3人で片付けた。「力の配分はできたし、疲労感もないです。試合勘も戻りつつあるし、気持ちも高まってきた」と振り返った非の打ちどころがない61球。結果はもちろん、自力で危機を打開し、自軍に流れを引き寄せたことに価値があった。

 チームを前に動かす力がある。原監督は試合後「いい階段を上がっている。開幕候補の1人であるのは間違いない。内海と相乗的に上がっていってくれれば」と、個人名は控えた。しかし、年初から「このチームは、昨年の日本シリーズで勢いが止まった。止まった勢いを再び取り戻すには、相当な覚悟が必要だ」と繰り返す。ヤンキース田中をほうふつとさせる菅野の力強さこそ「あと1勝」を奪いに行く14年を託すにふさわしい資質だ。

 勇ましく牛耳る。開幕は本拠地東京ドームで、いきなり阪神との伝統の一戦。先発はエース能見が確実な上、打線には西岡、鳥谷、マートン、新井兄弟ら、力勝負が不可欠な猛者が居並ぶ。しかも外野スタンドは黄色とオレンジで二分され、重厚な雰囲気に包まれる。最終決定は近日中。球団創設80周年を迎える節目のマウンドに、菅野が上がる。

 ◆巨人開幕投手メモ

 プロ2年目以内に開幕投手を務めれば00年上原以来、14年ぶり。2リーグ制後はプロ1、2年目と続けて登板した伊藤、1年目の城之内を含めて過去5人いる。上原は前田、金本に1発を浴び7回4失点で敗戦投手となり、80年江川は完投もサヨナラ負け。白星を挙げたのは、1失点で完投した60年伊藤が最後。