<オープン戦:ソフトバンク7-2中日>◇13日◇ヤフオクドーム

 エルナンデスじゃなく、オレなんです!

 キャンプ中のインフルエンザ感染で出遅れていた中日堂上直倫内野手(25)が開幕の遊撃争いに緊急参戦だ。オープン戦初スタメンとなる9番遊撃で出場し、1四球2安打をマーク。開幕遊撃の本命アンダーソン・エルナンデス内野手(31=メキシカンリーグ)の対抗に躍り出た。

 巡ってきたチャンスを逃さなかった。堂上直は目をぎらつかせて必死に食らいついた。先頭で迎えた3回の打席では摂津の137キロ直球を右前打。5回の四球を挟み、迎えた8回の第3打席では「追い込まれていたので思い切っていった」と、森福の変化球をバットに乗せて右前に流した。

 沖縄キャンプでは序盤にインフルエンザに感染し、2軍落ち。調整が大幅に遅れた。ただ、これが殻を破るきっかけだった。午前8時半の早出から、ときには午後9時近くまで居残り練習。始動を早くしてタイミングを取る打撃フォームを体に染みこませた。「キャンプで(遅れを)取り返せるくらいの練習をしてきたので、自信はありました」。控えめな男がそう言えるほどの練習量だった。

 開幕スタメンについて問われると、「それは関係ありません」と、謙虚な男は首を横に振った。ただ、そうは言っても新体制の目玉である遊撃コンバートの高橋周が不振で降格。遊撃のポジション争いはエルナンデスVS直倫の一騎打ちの様相だ。

 谷繁兼任監督も堂上直がレギュラー候補かと聞かれて「もちろん」と即答。「残りの試合も使っていきます」と明言した。2日前に1軍合流が決まった時には佐伯2軍監督から「とにかく元気を出してこい!」とハッパをかけられた。帰りのバスに乗り込むときに「元気出していきます」とようやく笑顔。遅れてきた男がオープニング試合のスタメン争いに参戦した。【桝井聡】