<オープン戦:ソフトバンク4-2巨人>◇15日◇ヤフオクドーム

 巻き返し打!

 ソフトバンク中村晃外野手(24)が今オープン戦初の猛打賞で上昇カーブを描いた。開幕投手が決定的な巨人菅野に6回まで5安打と苦しめられた打線の中、3安打を引き出し、7回は山口から犠牲フライ。本多との1番適性テストで昨年101試合で務めた本命が復調した。チームは77年南海以来のオープン戦8連勝で、首位タイに立った。

 中村に前向き発言が戻った。「タイミングが合ってきました。ヘッドが走りだしました」。練習と試合で首をひねり続け、11打席ぶりに快音が出た。菅野から1回に真ん中高め145キロを左前へ、3回は、外角ツーシームをたたきつけ、遊撃内野安打。5回は、最速タイの外角149キロを、再び左前に運んだ。開幕投手の有力候補からの3安打。「左手をしっかり使おうと意識しています。ちゃんと当たる時にバットが出ているイメージです」と顔も明るい。

 オープン戦序盤は軸足に重心がうまく乗らず、体がポンと前に出た。ボールを追いかけ、自然に体が突っ込んでいた。オフの肉体改造でパワーアップに成功したが、打率3割7厘をマークした昨年のフォームに微妙な感覚のズレが生じていた。間の取り方で苦戦したが、感覚がカチッとはまった。秋山監督は「晃がいいバッティングをした。いい形で収まっている。最初は去年と違ったけれど、近づきつつある」とトンネル脱出を感じ取った。

 昨年の出塁率は長谷川と並ぶ3割9分2厘をマーク。選球眼の良さ、粘る姿は5回にあった。2球で追い込まれてもフォークボール2球の誘惑に乗らず、1球ファウル後、6球目を仕留めた。試合前まで2ストライク後は13打数1安打と振るわなかったが、ここで中村らしさが出てきた。

 1番は中村と本多で交互に先発。秋山監督が「どっちがいいかという話」という適性テストは残り6試合だ。今日16日の巨人戦(別大興産)では、相手先発が内海のため、今宮が左腕オプションで1番のテストを受け、中村は2番が有力。ただ、昨年101試合に座った本命に変わりはない。藤井打撃コーチは「スイング自体はずっといい。間が取れていた。去年の晃に戻った感じだね。明日続けて出れば大丈夫。心配ないかな」。37年ぶりのオープン戦8連勝で首位タイに浮上したチームと中村の上昇カーブがシンクロした。【押谷謙爾】

 ▼ソフトバンクのオープン戦8連勝は南海時代の77年3月6日の中日戦~同月21日の大洋戦に11連勝して以来、37年ぶり。福岡に移転後では初めて。同年の南海のオープン戦成績は19戦13勝4敗2分けで1位だったが、シーズンは前期2位、後期は3位に終わり、優勝決定シリーズに進出できなかった。なお、同チームの公式戦での球団連勝記録は54年の18連勝でこれはプロ野球記録でもある。