<オープン戦:楽天2-2ヤクルト>◇16日◇静岡

 ダークホースとは呼ばせない。いまだに開幕投手が決まっていない楽天で、美馬学投手(27)が安定感抜群の投球を見せた。ヤクルト打線を5回3安打無失点。昨季15勝で本命の則本昂大投手(23)、ドラフト1位で対抗の松井裕樹投手(18=桐光学園)に迫る、開幕投手候補となった。誰が、名誉をつかむのか。星野仙一監督(67)にとって、うれしい悩みが起きている。

 完投しそうな勢いだった。美馬は5回でお役御免となったが、わずか54球。早いカウントで勝負した。散発3安打に抑え、四球もなし。ヤクルト打線を封じ込めた。15アウト中11アウトが内野ゴロは、狙い通りだった。「去年は外野への飛球が多かった。ゴロを打たそうと。長い回を投げるには、球数を減らさないといけない。僕は100球前後で球速が落ち、打たれている」と課題をクリアした。

 これで、オープン戦2試合で9イニング無失点。四球も連打もない。手術歴のある右肘の状態を考慮され、キャンプは2軍スタートだった。今月上旬に昇格すると、昨季日本シリーズMVPの実力を見せている。

 悩ましいのは、星野監督だ。則本が5回6失点と打ち込まれた前日15日ヤクルト戦後、開幕投手候補に則本、松井裕、美馬の3人を挙げた。すると、「ダークホースの美しい馬」と呼んでいた美馬が、抜群の投球だ。ダークホースと呼ぶには、もったいない内容に「また、ヨシ(佐藤投手コーチ)が迷うんじゃないの!?」と、うれしそうだった。美馬が選ばれる可能性を聞かれると、「あるよ。マジで。名誉なことやからな」とニヤリ。決めきれない胸の内をのぞかせた。

 3投手とも、21日からの中日3連戦でオープン戦最終登板に臨む。「本命・則本VS対抗・松井裕」は変わらないが、美馬もいる。星野監督は「もう1回、チャンスがある」と言った。通常は、開幕前最後の調整の意味合いが強いオープン戦最終登板。そこが、開幕投手決定の勝負の場となるかもしれない。【古川真弥】◆楽天開幕投手候補

 ◎則本昂大

 昨季は新人ながら開幕投手を務め15勝。田中を継ぐエース候補だが、15日ヤクルト戦で5回6失点。復調がカギ。

 ○松井裕樹

 ここまで3試合で12イニング連続無失点。評価が急上昇した。周囲の予想を上回る結果で実績のなさをカバー。

 ▲美馬学

 オープン戦2試合9イニング無失点の安定感で、首脳陣の信頼も厚い。球数が増えた時の投球をクリアできれば。