<オープン戦:中日4-5楽天>◇23日◇ナゴヤドーム

 中日谷繁元信兼任監督(43)が決死の覚悟で開幕を迎える。23日のオープン戦最終戦の楽天戦(ナゴヤドーム)でようやく初ヒット&マルチ安打が出たが笑顔はない。開幕が4日後に迫る中、4勝10敗2分けと低調なチーム状況を喜べる心境ではなかったからだ。だが指揮官は兼任の重圧にも強気で耐え“やってやるぞ”の心意気。V奪回へ、荒波の航海に出る。

 待ちに待った快音がナゴヤドームに響いた。2回1死。辛島の真っすぐをとらえた谷繁兼任監督の打球が中前に抜けた。オープン戦25打席目の初安打。6回にも福山の変化球を左前に運んだ。ノーヒット開幕を回避し、復調のマルチ安打締めだ。

 谷繁兼任監督

 1年目以来ですね。オープン戦のヒット1本で、あれだけみんなに喜んでもらえるのは。

 だが塁上でもホッとした姿を見せなかったように、出たのは苦笑いだけだった。2安打の要因については「それはいいんじゃないですか。自分の打撃を解説しているアレはない」と、ヒットの問いを打ち切った。

 28日に開幕が迫る中、監督として喜べるチーム状況ではなかった。オープン戦は4勝10敗2分けで10位。ナゴヤドームでは5敗2分けで1度も勝てなかった。勝敗度外視とはいえ、12球団最低の1試合平均得点は2・38。1番大島、2番荒木らの開幕オーダーはこの日ようやく固まったばかりだ。投手陣の防御率は2・94で4位だが、浅尾不在で守護神岩瀬も開幕ピンチ。そしてこの日、代役候補の田島が2失点で黒星を喫した。ここに、兼任監督という重圧がのしかかる。

 谷繁監督

 (兼任が)大変ですとか皆さんに言うことはないです。しっかりプレーしてチームが勝つように進めていくだけ。大変です、助けて下さいといっても助けてくれないでしょ?

 弱音は吐かなかった。だが限られた時間の中で、キャンプから選手谷繁の時間を削ってきた。全体練習後に特打や治療に当てていた時間で、監督谷繁として選手の動きをチェック。そして試合では先発マスクをかぶりながら敵味方の動きを見極め、展開を読みながら采配を振っている。大変かどうかは容易に想像がつく。だが12球団最年少監督にあるのは“やってやるぞ!”の気概だけだった。

 谷繁監督

 みんながいつもいい状態でいけるとは思っていません。その中でチームをつくっていきたい。少しずつ(形は)出つつある。シーズンでは(ドームで)勝てるようにします。

 順風満帆な船出とはいきそうもない。だが常に前を向き、目指す先は栄光の地。背番号27の船頭は前へ、前へ進み続ける。【松井清員】