勝負の年が、いよいよ始まる。阪神和田豊監督(51)にとって契約最終年の3年目は、9年ぶりのリーグ制覇を狙う戦いとなる。最初の舞台は開幕としては10年ぶりとなる巨人戦。タテジマ一筋30年目の虎将にとって「G」は、何よりも気持ちが高ぶるマークだ。何とか間に合ったベストメンバーを並べ、エース能見で宿敵撃破して勢いづく。
敵地に乗り込み、気持ちは高ぶった。いつもはじっと打撃練習を見る和田監督も、手にしたマスコットバットをスイングした。腹はくくった。不安も迷いも吹き飛ばし、すがすがしいほど澄み切った表情だった。
「こんな大舞台でできるのは、阪神か巨人にいないとできないこと。プレーできる喜びを感じながらやってほしい。ここまでくるとバタバタすることはないしね。伝統の一戦に恥じないような戦いにしたい」
85年の入団から、1度もユニホームを脱いでいない。タテジマ一筋30年目。監督としては勝負の3年目を迎えた。「伝統の一戦」での幕開けは10年ぶり。ダントツV候補のリーグ王者に比べ、オープン戦は3勝止まりで11位に終わった。周囲は劣勢予想でも、この戦いには意地がある。勢いづくには絶好の相手なのだ。
就任1年目は5位に沈んだ。昨季は2位と巻き返したが、終盤の失速がクローズアップされた。「就任した時から言っているセンターラインを中心にした守り、足を使った野球、時には空中戦もできる布陣になった」。種をまき、水をやった。我慢の2年間は、花開くためにやってきた。進退のかかる契約最終年は勝負のシーズンだ。
「鳥谷、能見といったところは、チームを引っ張ろうというものが体中からあふれ出ている。8年優勝していないから、チーム一丸となってやっていきたい」
午前中は東京・神田明神で必勝祈願した。昼食はカツ丼で「勝つ」思いを高めた。不安もあったゴメスは快音連発。故障離脱した鳥谷、西岡も間に合った。「野球人にとって開幕は違う。初陣なんでね。ほかの1試合とは違う重みがある」。お祝いムードに包まれる敵地で「宿敵」と呼ばれてきた誇りを見せる。悪役になることが、最高のスタートになる。【近間康隆】



