<ヤクルト9-1DeNA>◇28日◇神宮

 ラッキーカラーがヤクルトに快勝をたぐり寄せた。ルーキー西浦の1発あり、ライアン小川の好投ありの勝利に、小川淳司監督(56)は「西浦は本塁打が期待できるタイプでないけど、神宮は風もあってこういうこともある。本当にビックリ。小川もよく粘ってくれました」と、うれしそうに笑った。

 この日はラッキーカラーという紺のジャケットに緑色のポケットチーフを胸に挿して球場入りした。「いいと思うことは全部しようと思って。信じる者は救われる、だな」。オープン戦はわずか1勝の最下位。流れを変えるために、すがれるものにはすがった。「今年は勝つためなら何でもする。チームもそうだしオレも去年と同じじゃダメなんだよ」。初回の7点も、昨季なら犠打のところで強攻策を指示して奪い取った。

 開幕投手の責任を果たした小川も色にこだわった。今季ここまで使っていたグラブの色を茶色から紺に変更。前日27日の夜にラッキーカラーが緑と聞き、それに近い色を選んだ。その効果か、試合前の「想像以上だった」いう緊張感は、紺の“相棒”とともにマウンドに立つと消えていた。2回には変化球をとらえられ1点を失ったが、3回からは配球を直球主体に変更。冷静に投球を見直し、「逃げずに目の前の1球を大事に強い気持ちでいけたのがよかった」と、安堵(あんど)の表情をみせた。

 ラッキーボーイの登場に大黒柱の粘り強い投球。貧打に苦しんでいたとは思えない全く違う姿で、ヤクルトが会心のスタートを切った。【佐竹実】