<西武2-5楽天>◇29日◇西武ドーム

 東北の星が、試合を決めた。楽天銀次内野手(26)が2-2の5回2死一、三塁で、決勝の左前打を放った。同じ岩手出身である西武菊池の144キロを捉えた。前日の開幕戦で、好機に凡退した雪辱を果たした。これで、チームは開幕2連勝。ソフトバンクと並ぶ首位に立っている。

 打席に向かいながら、銀次は頭の中で星野監督の言葉を繰り返していた。「甘いボールを狙っていけ」と、ベンチから送り出された。2-2で迎えた5回2死一、三塁の勝ち越し機。マウンドには、自分と同じ岩手出身の西武菊池。3球でカウント1-2と追い込まれたが、次の球を捉えた。内を突く直球が真ん中に入った。144キロを左前に運んだ。「甘いボールだけ待って、強く振ることを心掛けました」と、指示どおりの打撃に胸をなで下ろした。

 前日の開幕戦では、結果を残せなかった。2-1の8回だった。先頭岡島が四球を選び、続く藤田が送って1死二塁。終盤の好機に打席が巡ってきた。1本出れば、貴重な追加点を奪える。だが、岡本篤の変化球に空振り三振。走者を進めるという最低限の仕事も出来なかった。則本の完投で勝利したが、星野監督は「銀次が、あんな打撃をしとったらいかん。何のために藤田に送らせたんだ」と厳しかった。

 一夜明けたこの日、球場で星野監督と目が合うと、すぐに「今日は打ちます!!」と宣言した。星野監督には「俺は何も言ってないぞ」と苦笑いで返されたが、口にすることで自分を追い込んだ。3回2死三塁では、三振に倒れた。またも好機に凡退。悔しさが5回の決勝打につながった。「チャンスで打てなかったので、今度は必ず打つという強い気持ちで打ちました」と胸を張った。

 銀次の決勝打に続き、6回にも2点を加え開幕2連勝だ。星野監督は「もうひとつだけどな。でも、相手には嫌な点の取り方をしている」と、小刻みに点を奪った攻撃陣に手応えを口にした。連覇を狙う打線の中軸に、今季も銀次がいる。【古川真弥】