<西武1-7楽天>◇30日◇西武ドーム

 1軍登板一番乗りだ!

 楽天のドラフト5位ルーキー西宮悠介投手(22)が、西武戦の7回から3番手で登板。4点リードの場面だったが、緊張で制球が定まらずいきなり2者連続の四球を与えた。不安定な投球で周囲をやきもきさせたが、最後は空振り三振を奪って上々のデビューを飾った。ドラフト1位の松井裕より先に1軍登板を果たした左腕は、シーズンを通しての活躍を誓った。

 いつも笑みの絶えない西宮でも、明らかに表情がこわばった。4点リードの7回2死。試合展開に余裕がある状況での登板だった。初球、西武鬼崎にいきなり146キロの速球を投げ込み球場を沸かせた。「ストレートの球威は悪くなかった」。しかし、ストライクゾーンには入らなかった。

 「投球練習では緊張しなかったんですけど、1球投げたら手先の感覚がなくなって、ヤバイと思いました」と3球連続のボール。4球目でようやく初めてのストライクを奪うがそのまま四球となった。続く栗山にも四球を与えて、2死一、二塁。表情がますますなくなっていく。たまらず内野陣が集まった。38歳のベテラン松井稼からは「真ん中に投げろ」と単純かつ明快な助言をもらった。

 だが、笑顔を作れない。続く熊代にも制球が定まらず、フルカウントとする。それでも自らの持ち味は投げっぷりの良さと信じた。豪快に振った左腕から放たれたのは146キロの真ん中高めの直球。勢いで三振を奪った。何とか無失点に切り抜け、「次にこんな投球していたらダメですね」とようやく笑みが戻った。

 ドキドキの1軍デビューに力が入っていた。前日には広島九里が12球団の新人1番星を挙げた。「先発と役割が違うんで何とも言えないですけど、自分もがんばらないといけないですね」と大学時代から知る同期生の活躍に気合が入った。

 明るい性格と投げっぷりの良さで首脳陣の信頼は厚い。星野監督は「どんどん使っていくよ。あれだけ強い球を投げるんだから」と期待を寄せる。西宮は「今日は1歩目という感じです。シーズンを通して大事な場面で投球できるようになりたい」と中継ぎエースの座を目標とした。広島九里よりも松井裕よりも輝く新人の星になる。【島根純】