プロ野球の1軍公式戦で使用されている統一球の反発係数が規定を上回っていた問題で、製造元のミズノ水野明人社長(64)が15日、都内のホテルで記者会見した。「私たちの不手際により、皆さまに多大なご迷惑をお掛けし、心からおわび申し上げます」と謝罪するとともに、内部調査の結果を公表。(1)ボールのゴム芯を覆うウールの毛糸の品質管理、(2)社内検査用に所有する反発係数の測定機器の設置環境に問題があったことが要因との見方を示した。

 (1)については、中国・上海工場でウールの毛糸が乾燥し含水率が低下。製造時に毛糸がきつく巻かれて通常よりもボールの硬さが増したとの分析結果を示した。また、飛びすぎるボールであることに気が付かなかった要因として(2)を挙げた。ミズノはNPBが検査を委託する日本車両検査協会(車両検)と同じ機器を所有し、納品前に社内で反発係数を測定している。これまで同社と車両検の検査結果はおおむね一致していたが、昨年3月に機器を三重から岐阜の施設に移して以降、正確な数値が測定できなくなった可能性があるという。

 「飛びすぎるボール」は今週いっぱいで姿を消すことになりそうだ。ミズノは、当面の措置として、納品前の在庫(約2300ダース)の全球の硬さをチェックし、適合する可能性の高いボールを選別。17日に車両検で反発係数を検査して、問題がなければ12球団に出荷する準備を進めている。早ければ22日の試合から適合球が使用できる見込みとなった。

 同時に、中国の工場で新たなボールの製造にも取りかかる。1日200ダースを生産して、5月上旬の安定供給を目指す。水野社長は「我々が期待されていることをしっかりできるよう努力していきたい」と、表情を引き締めた。