<中日4-1阪神>◇23日◇ナゴヤドーム

 完敗のなかでも、阪神マウロ・ゴメス内野手(29)がベストを尽くした。両チーム無得点の6回1死走者なし。先発川上の制球の乱れを見逃さない。冷静に四球を選び、満塁機へのきっかけとなった。得点に結びつかなかったが、存在感を示した。渋く一塁ベースに立ち、自身が持つ阪神外国人選手記録である、開幕からの連続出塁を23試合とした。

 「残念ながら負けてしまったけれど、最後に1本出た。明日また、切り替えてやっていきたい」

 3点をリードされた8回には田島の初球直球をたたき、ライナーで左前に運んだ。4試合連続安打となり、意地を見せた。

 1球、1打席が新外国人の進化につながる。この日対戦したのは、かつて米大リーグ・ブレーブスに在籍した川上だった。1回の第1打席。初球105キロカーブを見送り、ストライクになった。追い込まれ、またも、外角低め105キロカーブに空を切った。4回も初球がスローカーブ。百戦錬磨の谷繁がリードする中日バッテリーから、いつになく緩急をつけた配球で挑まれ、2打席連続三振した。

 ゴメスは「スローカーブだけじゃなく、内外へのロケーションを交ぜながら、いい投球をされたよ」と振り返る。この日は、次カード以降で対戦するDeNA、広島のスコアラーがバックネット裏から視察しており、スローカーブへの反応は首脳陣に報告が届く。大暴れするゴメスの新たな弱点探しに躍起になる包囲網を、どうかいくぐるか。

 ジャパニーズドリームを目指す助っ人が、新たなステージに入った。【酒井俊作】