<西武2-3日本ハム>◇30日◇西武ドーム

 日本ハムのドラフト2位ルーキー浦野博司投手(24)が連敗ストッパーになった。先発し8回途中4安打1失点。自身最多タイの8奪三振の力投で2勝目をマークした。自身2連勝で4連敗中だったチームに白星をもたらした。

 プロ2勝目は、すぐに実感がわいてこなかった。浦野はウイニングボールに、初々しく疑問を投げかけた。「こんなに、もらえるものだと思わなかった。2勝目のボールって誰かにあげるものなのかな」。4連敗中のチームを救う堂々の7回1/3、4安打1失点。終盤まで完封ペースで打線に勢いをもたらした。「次は完投出来るように頑張りたい」と、さらなる高みを目標に掲げた。

 抜群の度胸を発揮した。最大のピンチは1点リードの4回。無死一塁から盗塁、失策でこの日初めて三塁進塁を許した。迎えるは3番からのクリーンアップ。「気持ちで押していきました」。栗山を見逃し三振。浅村を空振り三振の2者連続三振で2死。逆境に打ち勝ち、この回を無失点で乗り切った。あふれる気迫はプロ最速149キロが物語っていた。

 野球を始めた小学3年から約16年来の友人5人との「空間」が励みになっている。スマートフォン(多機能携帯電話)向けの無料通信アプリ「LINE」で限られたメンバーとやりとりが出来る「グループトーク」を結成。毎日のように届くメッセージに優しい言葉は1つもない。開幕1軍を逃したときも「このままじゃプロで通用しねえぞ」と、厳しい活を入れられてきた。

 プロ初登板初先発した4月5日ロッテ戦は友人たちの姿があった。浦野の母から登板日を聞き、急きょ3人が静岡から駆けつけたという。その日、顔を合わせることはなかったがLINEを通じて初白星を逃したことにダメ出しを受けた。「本当に僕のことを心配してくれているから厳しいことを言ってくれる。本当に励みになる」。心揺さぶる熱い友情が浦野のハートを燃やしている。【田中彩友美】

 ▼ルーキー浦野が8回途中1失点の好投でチームの連敗を4で止めた。新人の先発投手が勝ち投手となり連敗を止めたのは、04年の北海道移転後、延べ12度目。04年7月7日近鉄戦(札幌ドーム)で7回1失点の押本が最初で、05年ダルビッシュ、06年武田勝、07年吉川、08年多田野、10年増井らが記録。最近は11年8月27日西武戦(西武ドーム)の斎藤で、浦野は3年ぶり。最多は06年八木の3度。