<巨人6-7DeNA>◇8日◇東京ドーム

 ついにやった!

 DeNA中畑清監督(60)が、就任3年目で初となる巨人3連戦の勝ち越しを決めた。主軸として期待を寄せ続けてきた筒香が、先制2ランなど2連発の活躍。5回には逆転されたが、石川の適時打で追いつき、多村が勝ち越し打を放った。リリーフ陣も終盤を締め、1戦目に続いて接戦を制した。意識しまくってきた古巣を敵地で破り、5位ヤクルトに1ゲーム差と、最下位脱出も見えてきた。

 ついに壁を越えた。中畑監督は試合終了の瞬間、絶叫を上げた。周りのコーチ陣、スタッフ、目に入った人とところかまわず喜びのタッチを交わした。監督就任3年目で、古巣巨人との3連戦で初の勝ち越し。「やっとだなぁ~。長かったなぁ~。巨人に勝ち越せたのは大きい」。歓喜の後は、勝利の味がじんわりと心に染みた。

 堂々の勝ちっぷりだった。序盤は相手のお株を奪う一発攻勢。3回表までに筒香が2発、山崎が1発を放ち4点のリード。1度は逆転されたが、そこからこれまでと違った。6回に相手のミスから同点とし、8回2死二塁で代打多村が右前打で勝ち越した。最後はルーキー三上が1点差を逃げ切った。代打策も継投も当たったが、同監督は「1点差で勝てたのは本当に大きい。巨人相手に選手全員よく頑張ってくれた」と選手をたたえた。

 監督就任以来、打倒巨人に強い意識を持っていたが、試合前の段階で通算10勝40敗4分けと、圧倒的に負け越してきた。「巨人にここまで負け越してきて、見下されている」「体重は落ちてないけど、顔がこけてきた」と弱音を吐露することもあった。だが、古巣を倒す意欲は薄れなかった。

 「どうしても力でねじ伏せたい」。力の差はあっても、強い思いを抱き続けた。開幕前から「巨人を相手に五分の戦いをしないとクライマックスシリーズ(CS)には行けない」と言い続けた。巨人戦への思いを選手に伝えたこともあった。

 初の勝ち越しは、恩師の巨人長嶋茂雄終身名誉監督が観戦する前で果たした。「今日来てたの?

 まずい、あいさつしてない。でも長嶋さんの前でいい野球ができた」。まだ今季2勝5敗だが、大きな意味がある1勝。5位ヤクルトとも1ゲーム差と、最下位脱出も見えてきた。この勝利が、打倒巨人、そしてCS出場へつながるかもしれない。【細江純平】