<巨人2-0日本ハム>◇25日◇東京ドーム

 苦労を経てやっと手にした勝ち星だった。24日に1軍登録されたばかりの巨人小山雄輝投手(25)が、今季の初登板初先発で勝利投手になった。日本ハム打線を相手に8回途中まで2安打無失点、7奪三振の好投。キャンプ1軍スタートも2月に2軍降格、インフルエンザも発症するなど苦難の連続を乗り越え、2年ぶりの白星をつかんだ。

 歓声とため息交じりの中、巨人小山が1-0のリードを守ってマウンドを後にした。見せ場は7回だった。「浮いたら1発がある。ボールでもいいから低めにいこう」。大谷、中田、ミランダの中軸に対し低めに130キロ台のフォークを決め球に選んだ。3者連続三振。三振を奪う落差の大きい勝負球と、スプリット気味に浅く握るカウント球。2年目から投げ分ける2種類のフォークが生きた。

 新球も効果的だった。1軍キャンプ中、内海、大竹、久保らと会食。ゴロの山を築く先輩投手に教えを受け、この日は大竹直伝のシュートで左打者の内角を攻めた。「便利な球。カット(ボール)も効果的になる」。7回、ミランダへの2球目で外角高めを意識させ、フォーク、直球、フォークと低めの3球で沈めた。原監督は「1日で手放しで喜べないが、(2軍で)いい時間を作ってきた」と評価した。

 どん底から、生還した。那覇キャンプ中の練習試合で打ち込まれ、原監督から宮崎への強制帰還を命じられた。悪夢は続き、2軍キャンプ最終日にはインフルエンザ。トレーナーと2人で居残った宮崎で、投球を見つめ直すシミュレーションに没頭した。

 小山

 チームがどこで、打者が誰と、自分の頭の中で考えました。1シーズン投げているつもりだった。そしたらいつの間に、144試合が終わっちゃいました。

 三たび、ローテーションの谷間を埋めた。プロ初勝利となった12年8月31日のDeNA戦は、左肩違和感で離脱した杉内の代役。同9月11日広島戦での2勝目も、2軍調整中の沢村に代わって白星をつかんだ。ただ2戦続けて好投できず、昨季は未勝利。登板機会がない関係で、今後は再びファームで調整予定だが、同じ轍(てつ)を踏むつもりはない。隙のないシミュレーションを用意し、ローテ定着のチャンスをうかがう。【栗田尚樹】

 ◆小山雄輝(こやま・ゆうき)1988年(昭63)12月5日生まれ、愛知県出身。天理大から初のプロ指名で、10年ドラフト4位で巨人に入団。長身から繰り出す直球とフォークが武器。昨季は10試合に登板して0勝2敗、防御率3・86。187センチ、78キロ。右投げ右打ち。今季の推定年俸1800万円。