<阪神2-0ロッテ>◇27日◇甲子園

 「元サヤ」の阪神清水誉捕手(30)が藤浪をよみがえらせた。昨季後半はコンビを組んだ右腕を、今季初めてリード。「リズム良くというのはあった。ボールボールにならないように」。早い返球でテンポに乗せ、ハーフスイングは激しいジェスチャーで主審にアピールした。「背水」と言われた藤浪より必死に戦った。7回2死二、三塁ではブラゼルを三振に仕留めて、叫んでいた。

 見せ場は6回だった。2死一、二塁で3番井口。1-2から内角151キロをファウルさせると、続く外角カットボールで空を切らせた。「外が多い投手だけど、ずっと右の内角を練習してきた。内角を使って外の真っすぐ、カットで勝負。一番いいカットを生かしたので」。キャンプから、ブルペンでは積極的に藤浪の相手を務めてきた。酸いも甘いも分かる女房だ。

 主にマスクをかぶってきた鶴岡が離脱した。藤井に続き、経験豊富な正捕手が消えた。「最後のとりで」にも見える30歳には開幕マスクを任された意地もある。「自信を持ってサインを出せた。続けていきたい」。今季初めて甲子園のヒーローになった20歳を優しく見詰めながら、自分の満足感は捨てていた。【近間康隆】