<日本ハム3-1阪神>◇5月31日◇札幌ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(19)の1発が、チームに勝利を呼び込んだ。阪神戦に「3番・右翼」で先発。1点を追う7回に右翼席へ4月23日ソフトバンク戦以来の2号ソロを放った。6回まで能見にわずか1安打に抑えられていたが、大谷の左腕からプロ初の本塁打で同点に追いつくと、9回にミランダがサヨナラ2ラン。5試合ぶりの貯金で単独3位となった。

 収穫がぎっしりと詰まった打球が、阪神ファンで真っ黄色の右翼席まで届いた。1点を追う7回、大谷が4月23日ソフトバンク戦以来となる1発を放った。「フェン(ス)直(撃)かなと思ったけど、入ってくれて良かったです。いい場面で打ちたいと思っていました」。野手出場12試合、48打席ぶりのアーチだった。

 打者・大谷に残されていた2つの壁を、乗り越えた。

 【左腕撃ち】プロ入り5本目の本塁打は、初めて左投手から放ったものだった。それも球界を代表する、阪神能見から。昨年は左投手に対し17打数3安打、打率1割7分6厘。2年目の成長を「数多く立たせてもらっているからだと思う」と謙遜するが、この日も球場に早く来てマシン打撃を行ったように、重ねた努力が結実している。

 【変化球攻略】新人で投打「二刀流」をこなしながら3本のアーチを架けた昨季。「大したものだ」と声をかける周囲に、返答していた言葉がある。「全部真っすぐなので…」。甘く入ってきた直球に、タイミングを合わせて運んでいただけ。だから、126キロスライダーをはじき返したことにも、価値がある。「何を打とうとかは考えてなかった」。球種を張るのではなく、うまく対応して持って打った。

 「大谷翔平スペシャルデー」で、3万人を超えるファンが詰めかけた。スタンドには両親の姿もあった。「いっぱい入ってくれればうれしいです。良かった」。サヨナラ弾のヒーローの横で、主役は控えめに笑っていた。【本間翼】