<オリックス8-5DeNA>◇11日◇京セラドーム大阪

 心の底からは喜べなかった。DeNAユリエスキ・グリエル内野手(30)が8回に来日初アーチを放つも勝利にはつながらず。「うれしいけど、完全な喜びではないよ。大事な1本になったけど、勝てなかったから」と、笑顔はなかった。

 それでも適応力の高さを見せつけた。デビュー2戦目の9日楽天戦(郡山)は4打数無安打。則本のキレのあるスライダーと力ある直球に封じ込められた。あれからわずか2日。6回に初打点となった適時打は、オリックス西の低めのスライダーを、本塁打は佐藤達の146キロをバックスクリーン左にたたき込んだ。「努力を重ねていたから、安打が出てないことは気にしていなかった。打つのは難しかったけど、今日はよく打てたと思う」と振り返った。

 目指すのは走攻守で“完璧な選手”。「巧打者で強打者。守備範囲が広くて肩も強く、足も速い。そういう選手になりたいんだ」。周りからキューバの至宝と呼ばれても、理想の選手像はまだ先。「自分にはまだ足りないものがある。日本でそれを埋めたい」と力を込めた。

 手元に戻った初本塁打の記念球はキューバの自宅に飾る予定。次の1本は、チームと喜びを分かち合うつもりだ。【佐竹実】