最下位に転落したヤクルトが、「4番雄平」を巻き返しの切り札とする。阪神戦が雨天中止となった3日、小川淳司監督(56)は「首位と11ゲーム差は大変だが(逆転は)不可能ではない。まだ諦めるわけじゃない。思い切ったことをしないと」と、最下位からの浮上には「変化」が必要と力説。「広島は雨天中止で3本柱が来るみたいだけど、やっつけないと話にならない。雄平を4番にする」と今日の広島戦(マツダ)での4番変更を決断した。

 バレンティン不在による抜てきとはいえ、未経験者の4番起用。小川監督も「まだ未知数の部分が多い」と言う。だが、サプライズ起用だからこそ、大きく流れを変える可能性があると、経験則で知っている。10年には内野手の畠山を外野で起用。守備力に目をつむって打線の起爆剤とし、19もあった借金を完済した。

 現在は3連敗で借金10と、不振から抜け出せずにいる。「ここのところ2試合も完封されている。上にいくには何かを変えないといけない」。雄平は野手転向5年目と打者経験は浅いが、13本塁打で日本人トップタイの長打力はある。「フルスイングするし打席に立つとワクワクする。そう思わせるのは大事」と、低迷打破を伸びしろに託した。

 指揮官の思いに、雄平も「意気に感じてしっかりやりたい。1打席1打席、大事にやっていきます」と表情を引き締めた。12球団の4番でも最小兵と言える身長174センチの小さな4番が、ヤクルトの起爆剤になる。【浜本卓也】