<ヤクルト4-8DeNA>◇13日◇神宮

 やっと白星を手にした。DeNA三浦大輔投手兼任コーチ(40)がヤクルト戦で先発し5回3安打1失点(自責0)で今季初勝利。プロ野球歴代3位タイの22年連続勝利をマークした。7月13日のシーズン初勝利。93年9月にプロ初勝利を挙げた2年目に次ぐ遅さだった。6度目の登板でチームを今季4度目の4連勝に導いた。

 ウイニングボールをグッと握りしめた。23年目のベテラン三浦が、ルーキー三上から渡されると思わず笑みがこぼれた。「振り返れば長かったけど、1試合1試合の積み重ねがこの結果になった。みんながつないでくれた。感謝です」と、かみしめた。

 追い求めてきたボールが決まった。5回2死。バレンティンに対し、外角の138キロの直球。捕邪飛に打ち取り、グラブをポンと3度たたき、ベンチに戻った。4四球と苦しんだが「俺にはコントロールしかない。すごい球もなければ変化球もない。丁寧に投げることだけを考えて投げた」と振り返った。

 この日を見据え、やってきた。ここ5試合は28イニング17失点と満足できる結果ではなかった。「毎回5回2失点だと中継ぎ陣が持たない」という中畑監督の判断のもと、2度も2軍降格。6月14日のソフトバンク戦(ヤフオク)の試合後、2度目の抹消を告げられた。翌15日。朝6時から動いていた。「もう次は始まっているから。腐っている暇はない。だらけていたら力は衰える」と海岸沿いを1時間かけ、ウオーキング。時間はかかったが、その姿勢が白星につながった。

 三浦

 あらためて1勝する難しさを分かった。俺がいない1軍の試合でも18番のタオルやユニホームを着て応援してくれていた。戻らないといけないと思っていた。

 結果にこだわった。無期限の降格。今までのように内容が良ければ昇格できるというものではなかった。ベテランですら、2軍で貪欲に結果を求めた。「結果を出さないと上(1軍)にはいけない」。変化球とのコンビネーションとボールを出し入れする投球スタイルは変えず、外角への制球を磨き続けた。その「生命線」が結果につながった。

 兼任投手コーチとしても初勝利。偶然にも中1の息子もシニアの練習試合で5回2失点で初登板、初勝利を挙げた。「息子が勝った日にね。俺も1軍で勝てた。ホッとしてはいけないけど、前半戦で勝てて良かった」と安堵(あんど)の表情だった。1勝に時間はかかったが、ようやく40歳ベテランの23年目のシーズンが幕を開けた。【細江純平】

 ◆三浦の主な通算記録

 三浦はプロ23年目。投手の実働23年は工藤公康(29年)山本昌(27年)に次ぐ歴代3位。02年9月25日広島戦から265試合連続で先発し、連続試合先発登板では山内新一が南海-阪神時代の73~84年にマークしたプロ野球記録(311試合)に次ぎ歴代2位につけている。通算162勝は現役では<1>山本昌(中日)218勝<2>西口文也(西武)182勝に次ぐ3位。