<フレッシュオールスター:全イ7-6全ウ>◇17日◇長崎

 合わせて219キロの巨漢コンビが、長崎の空にデッカイ花火を打ち上げた。全イの4番西武山川穂高内野手(22)と5番ロッテ井上晴哉内野手(25)がアベック本塁打を放った。それぞれ体重は100キロを超え、互いを兄弟分と意識する間柄。井上は8回にも決勝弾を放ち、最優秀選手に選出。賞金100万円を獲得した。試合は全イが勝利し、通算成績を19勝27敗5分けとした。

 井上と山川の“兄弟対決”は、兄の貫禄勝ちだった。6-6の8回無死。114キロの兄・井上が、ソフトバンク笠原の真ん中高め144キロ直球をフルスイング。左中間スタンド最上段で跳ね、場外へと消えた。この日、2本目の特大アーチは決勝ソロ。MVPを受賞し、「狙い通り。山川君に1本差をつけられたのは大きいです」と豪快に笑った。1回2死には詰まらされながら、バックスクリーン左へ。「自慢の力が出ましたね」と笑い飛ばした。

 105キロの弟・山川も“兄”を必死に追いかけた。3回1死二塁。ソフトバンク伊藤大の真ん中へ抜けたカーブを左翼上段へ運んだ。特大アーチも、戦いには敗れ、「いやーブラザーは、打ちそうな感じがしたので」と白旗を上げた。

 試合前から“兄弟げんか”が勃発していた。打撃練習時に「本塁打競争しようぜ」と井上が持ちかけた。引き揚げる選手の中、互いに豪快なスイングを見せつけ合った。

 出会いは、12年のアジア野球選手権。大学3年で唯一メンバー入りした山川は「(井上が)一番近づきやすかった。お兄ちゃんです」と親近感を感じた。ファストフード店では、井上がチキンナゲットを1人で5箱食し、山川も負けじとハンバーガーを食べ続けた。私生活でも本当の兄弟のように、なぜか意地を張った。

 豪快な1発が飛び交い、長崎の地を盛り上げた。パワーを期待されている2人だが、今は2軍で調整を続ける日々。64年ぶりとなる開幕4番を務めた井上は「もう1度、配球とかを勉強して1軍を目指したい」と真剣な表情で言った。山川は「同じリーグなので将来本塁打王を争えるようになりたい」。互いに、自慢のパワーを存分に発揮した。永遠のライバル「219キロコンビ」が、今後の野球界を盛り上げる。【栗田尚樹】