中日吉見一起投手(29)が“少年時代投法”で逆転Vの切り札になる。23日DeNA戦(横浜)に先発予定の右腕が21日、08年に主戦投手となって以降、登板が憂鬱(ゆううつ)だったと激白。右肘を手術して1年2カ月投げられなかったことで、少年に戻ったように楽しんで投げられるようになったという。心境の変化で復活勝利へ。帰ってきたエースが後半逆襲を導く。

 竜のエースは問わず語りにほほ笑んだ。21日から始まる後半戦に備え、ナゴヤドームで調整。帰りの駐車場で心境を激白した。

 吉見

 投げられる喜び、マウンドに上がれる喜びがすごく大きいです。楽しみながら投げられている。プロに入ってから感じたことがない感覚ですね。少年に戻ったような気持ちです。

 心は「少年時代」そのものだ。井上陽水の名曲ほどセンチメンタルではないだろうが、子ども時代がフラッシュバック。楽しく白球を追っていた10~20年前の吉見少年と、29歳の吉見青年の気持ちは、まったく同じというのだ。

 吉見

 軸を任せてもらっている時は責任感もあっていつも憂鬱(ゆううつ)でした。打たれたらどうしよう、負けたらどうしようとマイナス要素ばかり考えて嫌でした。でも1年野球ができずに感じたのは、このマウンドで投げたかったんだという思い入れ。楽しめているからピンチでも動じず落ち着いていました。

 吉見ほどの力量でも、08年から託された主戦の重圧は相当なものだったようだ。だが右肘手術から再起し、1年2カ月ぶりに復帰登板した8日ヤクルト戦から思いは180度変わった。2度の先発でまだ勝ちはない。だが投げた12イニングはワクワク感でいっぱいだった。思い起こした「野球=楽しい」感覚こそ、完全復活をサポートする強力兵器。後半戦は“少年時代投法”で白星を量産し、大逆転Vを導く意気込みだ。

 吉見

 チームが1つでも上に行けるように、相手はどこであれ、最少失点に抑えてゲームをつくりたい。もちろん、白星はほしいですよ。でも自分に白星がつかなくても、チームが勝てればいいと思っています。

 8月は夢花火

 私の心は夏模様

 サビの歌詞は切ない。だがプラス思考の今の吉見なら、前向きな応援歌に聞こえてくる。復活の夢花火を上げ、心は真夏の逆襲模様-。後半まず託された先発は23日DeNA戦。祝杯を挙げる準備は整った。【松井清員】