<中日10-0巨人>◇25日◇ナゴヤドーム

 巨人菅野智之投手(24)が課題の夏に自己ワーストの8失点でKO負けした。中日戦の初回、森野に3ランを浴びるなど、いきなり4失点。4回までは持ちこたえたが、5回にエルナンデスに2本目の適時打、和田に3ランを食らって降板した。昨季苦しんだ夏場の克服を誓っていたが、2年連続の2桁勝利はお預け。女房役の阿部も守備でサポートできず、0-10の惨敗を招いた。

 菅野が真夏の悪夢にうなされた。出足から不調は明らか。直球での腕の振りは鈍り、変化球では緩んだ。直球は140キロ前後。最速でも144キロと150キロ前後の速球派の姿は、なかった。立ち上がりの安定感を誇る右腕が森野の3ランなどで自己ワーストの初回4失点。5回には和田に甘く入ったスライダーを左翼席へ運ばれ、硬直した。4回1/3、8失点と屈辱のKOを味わった。「カード頭を任された投手が初回に4点も取られたら話にならない」と反省した。

 プロ2年間、夏場にギアが入らない。昨年は8月に月間防御率5・16。今年は「去年の失敗をしないように準備をする。動ける春先に貯金をつくる」と課題克服を掲げていた。中5日の登板が増え、登板間のブルペン投球はなくし、走り込みでスタミナを積み上げた自負があった。だが7月最後の登板も打ち込まれ、月間防御率6・12に沈んだ。「(体調は)万全で行ったので僕の力不足。変化球主体?

 そういう組み立てで行こうと。あれが精いっぱいだった」と言い訳はなかった。

 「最初から体がだるそうだった」とコンビ役を評した阿部もともに敗戦の責任を負った。「バッテリーで試合を壊してしまった」。失点には直結しなかったが2回には大野の犠打を二塁送球もワンバウンドで野選。「焦った。アウトを1つしっかり取らないと」。5回も大野の捕ゴロにチャージが甘く、送球もそれて内野安打を許し、大量失点を招いた。打撃では通算3000塁打を達成も「何の感情もない」と胸中には守備の反省が渦巻いた。

 KO、守乱、打線の不発、今季最短の2時間27分での大敗。「語るに足りず」。原監督は内容を評することもないと3度、繰り返した。「明日は暴れるさ、そりゃ。多くを語りたいね」。惨敗からの奮起を示すしかない。【広重竜太郎】